第59話

2人はすぐにバイクから下りて、こちらへ向かってきてくれている。



「おい、大志はどうした!?」



「大志……は……」



あたしは震える声で、2人に状況を説明した。



「早く病院いかなきゃヤベェな。力耶、お前は千沙ちゃんを家に送り届けてやれ。俺はあの車を拝借して病院へ向かう」



強が、そう言って大志を担ぎ上げる。



大志みたいに大きな男を片手で担ぐなんて、さすが今津チームの頭だ。



「待って、あたしも一緒に病院にいく!!」



そう言って、車に乗り込もうとするあたしを、力耶が止めた。



「やめておけ」



「なんで!?」



「大志はお前を助けるために刺されたんだ。病院にまでトラブルの現況を連れていくことはできない」



力耶の鋭い言葉に、あたしは言葉を失った。



トラブルの、現況……。



「このままじゃ、大志は本当にダメになる。しばらく顔を合わせるのはやめておけ」



そんな……。



あたしと力耶を残して去って行く車。



あたしは脱力し、その場に座り込んでしまった。



ボロボロと涙があふれ出して、止まらない。



あたしのせいだ。



あたしのせいで、大志が……。



そして、それと同時にあたしは自分の気持ちに、この時初めて気がついたんだ。



あたし……大志のことが、好きだ……。

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