第59話
2人はすぐにバイクから下りて、こちらへ向かってきてくれている。
「おい、大志はどうした!?」
「大志……は……」
あたしは震える声で、2人に状況を説明した。
「早く病院いかなきゃヤベェな。力耶、お前は千沙ちゃんを家に送り届けてやれ。俺はあの車を拝借して病院へ向かう」
強が、そう言って大志を担ぎ上げる。
大志みたいに大きな男を片手で担ぐなんて、さすが今津チームの頭だ。
「待って、あたしも一緒に病院にいく!!」
そう言って、車に乗り込もうとするあたしを、力耶が止めた。
「やめておけ」
「なんで!?」
「大志はお前を助けるために刺されたんだ。病院にまでトラブルの現況を連れていくことはできない」
力耶の鋭い言葉に、あたしは言葉を失った。
トラブルの、現況……。
「このままじゃ、大志は本当にダメになる。しばらく顔を合わせるのはやめておけ」
そんな……。
あたしと力耶を残して去って行く車。
あたしは脱力し、その場に座り込んでしまった。
ボロボロと涙があふれ出して、止まらない。
あたしのせいだ。
あたしのせいで、大志が……。
そして、それと同時にあたしは自分の気持ちに、この時初めて気がついたんだ。
あたし……大志のことが、好きだ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます