☆電撃Days☆イケメン総長は幼馴染!

西羽咲 花月

第1話

~千沙side~


5月のゴールデンウィーク最終日。



あたし、有馬千沙(アリマ チサ)は幼馴染である浜中大志(ハマナカ タイシ)の家に来ていた。



あたしは地元高校に通う17歳。



今年旭高校3年生になったばかり。



そして、6畳のフローリングでヘッドフォンを耳に当てている大きな男が幼馴染の大志。



大志もあたしと同じ高校へ通っている3年だ。



大志はがっしりとした体つきに、右頬に刃物で傷つけられたような、昔の傷痕があった。



でも、傷なんて気にならないくらいに整った顔をしていて美青年という言葉が似合っている。



整理整頓された部屋で最後の休日をだらだらと過ごすのには、あたしたち、2人ともそれなりの理由があった。



あたしは母親が商店街で1泊2日の旅行券を当てた。



昔から仲の良さの変わらない両親なので、そのチケットを握りしめ、娘を1人置いて当たり前みたに旅行へ行ってしまったんだ。



「大志、タバコ」



そう言って大志がつけていたヘッドフォンを外したのは、仲間のアツシ。



暇な時には、大志の家にこうして3人でタムロしている事が多い。



「持ってねぇ。ヘッドフォン返せ」



大志はアツシからヘッドフォンを奪い返し、また音楽の世界に入って行ってしまった。



アツシは「ちぇっ」と舌打ちをして、大志のベッドへ寝転ぶ。



「最近、平和だね」



あたしが言うとアツシが「平和すぎて死ぬ」と、答えた。



「平和なのはいいことでしょ」



「今津も松原も、なんで動かねぇんだよ」



ゴロゴロとベッドで寝がえりをうち、アツシは愚痴る。



今津と松原とは、この街の東区にある2つの不良チーム。



ちなみに、ここは西区で西区全体の不良をまとめているのは浜中だった。



そう、今ヘッドフォンをつけているあたしの幼馴染が、西区のトップなのだ。



今津と松原は、同じ東区ということで手を組んで西区の浜中に喧嘩を売ってくることが多かった。



しかし、最近では今津も松原もおとなしく、なにかを仕掛けてくることもなく、結果、西区も平和な日常を送れていた。



「なぁ~大志。たまにはこっちから喧嘩ふっかけようぜ?」



「うるさい。大人しくしているなら、ほっておけ」

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