第24話 ひぐらしは鬱じゃない

──第1章 生誕──


「俺が産まれたのは7月7日、七夕だ。…体重約3500gの健康体さ。そして俺はその病院で…」


「ちょっと待つでござる。」


止められた。解せぬ。


「おい、何故止める。あと33章あるんだぞ。」


「いや多いな、どれだけ濃い人生でござるか。

…と言うか、誰が生い立ちを話せと申したか。その力を手に入れた所を話せと言っているのでござる。」


「へいへい分かったよ。注文多いな。」


………………………………………………………

西暦2018年 冬 PM9:30 東京、新宿駅


「はぁ…」


教師の仕事を終え、帰宅中にまるで車の排気ガスの様にため息を吐く。

見渡す限りの人、人、人。

教師となり東京に来てかなりの時間が経過したが、この人口密度には未だ慣れない。


ちなみに今人混みの中で大きなため息を吐いたのはこの僕、灰島盟介である。



「異議あり!」


「なにぃ!?」


出だしで御託は即手を上げて話を遮りやがった。


「なんだ、何が不満だ?」


「どーもこーも無いでござる!誰でござるかあの優男は!髪もサラサラだし!」


「あ゙あ゙!?俺に決まっとるやろ!」


「嘘だッ!!」


どっかの鬱アニメのヒロインがおのれは!


……いや、ひぐらしは鬱じゃないな。うん。

関係者各位、並びにファン達へお詫びと訂正をしておこう。


「いつもの灰島氏ならああいう時はため息じゃなく舌打ちと共に『…クソが』って言うハズでござる!」


「なんでお前は俺のキャラを完璧に把握してんだ!」


「大体!一人称『僕』って…この4年で何があったんすかあんた!」


「だからそこも説明すっから聞いとけ!あとキャラ壊れてるぞ!」



「ぷはぁっ…やっと抜けた…」


人混みをフラフラになりながらも見知った小道に出た。

ホント、なんであんなに混むんだろ…



「ただいまー…」


家に入り、そう呟くが返事は帰ってこない。

一人暮らしな為当たり前だ。万が一返事が帰ってきたら即回れ右からの110番案件だ。


「…ただいま、父さん。」


玄関の横の棚に置いてある写真立てに向かってそう言う。

写真立てに写っているのは子供時代の盟介とその父、灰島孝明はいじまこうめいである。


父は盟介が小学5年の時に交通事故で亡くなっている。

しかし、出来が悪いと家を勘当されながらも血のにじむような努力をして起業し、成功を収めた父を子供の頃から尊敬しており、『いつか父の様に立派な人間になる』と常日頃思っている。

まぁ現状は生徒の指導さえままならない状態だが。


「本当、どうやったら父さんのようになれるんだろう…」


はぁ、とまたため息を吐き冷蔵庫を開けると、何も入っていないことに気付く。


「うわ…なにも買ってないよ……」


また1つため息を吐いて外へ出る。


カンカン、と踏む度に軽快な音を立てる金属製の階段とは対照的にズンズンと沈んでいく心。原因は欲望がネオンと共に輝くこの街のせいか、はたまた仕事の憂鬱さからか。

もっとも、その答えは灰島本人にさえも分かっていないようだが。


道に出て、やや俯き気味に歩く灰島。妙にビクビクしているのは最近横行している通り魔を危惧しているが故か、怪人とのエンカウントを恐れているのか。


そんなこんなで若干挙動不審な動きをしながらもコンビニに到達し、特にトラブルも無くコンビニ弁当・カップ麺などの物資を購入し、そそくさと帰路に着く。


「最近、さらに物騒になってきたなぁ」


元から東京は治安が悪いのだが(偏見)、今は唐突の世界的な未確認生物・通称怪人の出現に伴いさらに治安が悪くなり、常に命と隣り合わせの状況になっている。


突然の化け物の出現。こんな東映の特撮みたいな展開にはやはり味方も期待してしまうだろう。

そう、某光の巨人みたいな存在だ。

分かっている。現実的に考えてそんな非現実的でオイシイ話などある訳が無い。だが考えてもみてくれ、目の前に非現実な存在が現れているのだ。多少は期待してしまってもしょうがないのではないだろうか。

それになんか皆んなハイになってたし。


しかし、実際に公式(現実)から提供されたのは…………魔法少女だった。


多くの人間はいたいけな少女に戦闘をさせるのかと怒り、心配した。某インターネット掲示板は「幼女に地球の命運委ねるとか、もうダメかもわからんね」と呆れ返り、また一部の人間は最悪な鬱展開になるのではととある魔法少女アニメを思い出し危惧した。


なんだか話が明後日の方向にズレたが、まあ大いに見てくれ。


そう、今この世は物騒なのDA☆


「なんでこの道って電灯無いんだろう…。」


今歩いている小道は自宅に最も近い道なのだが、いかんせん灯りが無いので夜になると真っ暗になってしまうため、スマホのライト機能を使って先を照らしている状況だ。


つまりこの道は「犯罪者さんいらっしゃい」状態なのだ。刺されても文句は言えない。いや言えよ。


だからなのだろうか。目の前に謎の生物が倒れていたのは。



「謎の生物?タスマニアデビルでござるか?」


「違う。物騒過ぎだろなんでそんなんいんだよ。」


御託のボケに呆れるように小さな肩をすくめる。

そして、先ほどその謎の生物をぶん投げた方角に白い腕を伸ばす。

いけっかな…


「…ちょっと灰島氏、何をやってるんでウワッ」


瞬間、自分の方に向かって強風が吹き込む。

空気はお前をあたしの方に吹き戻してくれてるぞォォォォォ…なんてな。


『ぁぁぁぁぁあああ????!!?!?!!』


お、来た。


遠くの方から突進してくる白い生物。このまま行くと自分にぶつかって痛いので少し身体をずらして避ける。

刹那、白いのは教室へ飛び込んできたかと思うとピンクの悪魔もニッコリな顔面もみじおろしで着陸し、壁に激突する。


打ちどころが悪かったのかその場でノビている白い生物の頭をむんずと掴み、掲げる。


「これだ、これ。」


そう。あの時小道で出会った謎の生物もといタスマニアデビルは、白・あるいは銀色の毛並みを持った魔法的生物『ナノ』だったのだ。


………………………………………………………


最後の投稿は…3ヶ月くらい前すかね。まあそんな日もあるさ。


過去編は「(過去編を)やると言ったな、あれは嘘だ。」で乗り切りたかった。











最後に…夏休みになるからと言って投稿頻度が上がると思ったら大間違いだぜ☆








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