虫かごを持って走り回る

そんな子供ではなかったから

セミファイナルを警戒し

なかなか家に入れない

ジリジリと体力と気力を奪ってく

セミの合唱が今は憎い


カキーンッと快音が響く

塁を走る彼は、間違いなくヒーロー

湧き上がる歓声、アルプススタンド

そんな普通が

いつになったら戻るのか


「シャキッとしなさい!」と

叱ってくれる声はなく

追われる宿題もない

田舎に帰ることもなく

ただジットリと、汗と時間が流れてく

エアコンが壊れて、絶望し

オアシス求める…こともできない




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