社会不適合者排除ゲーム

龍川嵐

第1話 謎の当選メール

僕は高校生2年である。

大人になるのは全く想像できない。

大人の人からよく聞くけど、

「たくさんの金を稼いで、欲しいものを購入できる」

「好きな仕事に就いているので、大変だけどやりがいを感じれる」

「幸せな家庭を築いていくことができる」

大人になると、楽しいことがいっぱいあると言う大人がいる。

しかし、一部の中に大人ではなく、子供の方が良かったと思う大人もいる。

「生活のために働かなければならない」

「求人情報は良い給料がもらえると書いてあるが、実は低給料だった」

「悪い人に騙されて、返せないくらい莫大な借金ができてしまった」

「子供は何をしても許されていたが、大人は許されなかった」

確かに大人になると、やりたくなくても仕事なのでしなければならない。

仕事に行きたくないと思っても行かなければならない。

「はああ、大人になりたくないな」

背伸びをしながら不満を呟いた。

ガタガタと椅子を動かす音がする。

僕のところに近づいてきたのはスポーツ好きの俊輔さん。

「それな、零くん〜」

僕の名前を呼びながら、俊輔さんの腕を伸ばして僕の方に滑らせた。

俊輔さんは、なんでもスポーツができる。

スポーツ万能と呼んでも良いかもしれない。

スポーツだけ得意ではなく、人の付き合いも上手だ。

相手が知らない人でもあっという間に仲良くなれてしまう。

コミュニケーションが高いでもなく、ちょっと悩みでもすぐに気づける。

困っている人がいたらすぐに動かせる。

まるでヒーローのような人物だ。

おっとと、僕はまだ自己紹介をしていなかったね。

僕の名前は零さん。

男性であるが、見た目は女性っぽい。

胸に少しだけ膨らんでいる。

だから男性の制服より女性の服装の方が似合う。

時々、僕のことを女性だと勘違いされることが多い。

「おい、そこは男性だ。女性はあそこだよ」

と言われる時もあった。

どうして僕は男性なのに見た目は女性なのか、不思議だった。

周りの人から変わった人だなと言われることが多い。

しかし、俊輔さんは変な僕でも普通に対応してくれた。

普通に対応してくれたより僕に興味を持っているだけだと思う。

「いやぁ、楽にして金を稼げるようになりたいわ」

「ははは、でも俊輔さんならプロ野球選手になれると思う。大体1億円くらい稼いだ選手がいるらしい」

「マジか!?うぉぉ!プロ野球になってやる!」

「まあ、良い成績を残さないとね。結果が悪いなら即にクビされる」

「オーマイゴット!」

毒づいた言葉に刺されて、一気に力が抜いて机の上に上半身を乗せた。

「はあ、何も働かずに好きなことだけ生きていきたいのに…」

「うん…僕も本当は何も働きたくない。何も考えずにのんびりと生きていきたい」

「あれれ?零くんは真面目に勉強をしてたので、何かの夢でも持ってるかと思った」

「あー、それは働く期間を伸ばすために大学に進学しようかと考えている」

「いいなぁ、頭が良い人は大学に行けるよな。俺は頭がバカなので無理わ」

「でも俊輔さんも全国大会に出場したので、内申点は高いだと思う」

このような会話をしている。

僕と俊輔さんは働きたくない人間である。

他の生徒は社会に貢献したい、やりたい仕事があるなどの目標を持っている。

つまり、働きたい人間だ。

働きたくない人間と働きたい人間をきちんと分かれている。

なぜ他の生徒は腹きたいのか考えられない。

大人になると、全部責任を持たなけれならない。

一つだけのミスでもしたら、倒産につながってしまう。

新聞やニュース、SNSで聞いたことがある。

稼いだ100億円が一瞬に奪われ、ホームレスになる時もある。

だからミスを犯さないように重い責任を持ってやり抜く必要がある。

大人になるのはいやだ。

子供ままの方が気軽に過ごせる。

俊輔さんは、暇つぶしでスマホでも眺めた。

僕も読書でもしようかと、カバンから取り出して本を読んだ。

読み終わって、次のページをめくろうすると、突然俊輔さんが大きな声を出していた。

「うわっどうした?いきなり大きな声だけど?」

目を大きくしたり、口を開いたりしたまま僕に向けた。

「やばい、楽に稼げるサイトで当選されてしまった…」

俊輔さんのスマホを僕の顔に近づかせた。

あまり近すぎると、何の内容か読めない。

まあまあと言いながら、俊輔さんのスマホを持って確認してみた。

『当選おめでとうございます。当選された人は楽々に稼げる会社に来てください』

「え?応募してた?」

「いや、しなかった。けど突然当選おめでとうのメールがやってきた」

当選おめでとうのメールを確認してみたら、楽々に稼げる会社を目にした。

「この会社は…誰でも知っている有名な会社だ。そういえば、毎年に高校生がランダムで当選されるらしい」

「ランダムの結果で俺を選ばれたか!マジか、嬉しい!これで楽に稼げるぜ!」

俊輔さんは一人だけ舞い上がった。

僕も自分のスマホを確認してみたら、当選おめでとうのメールが来ていた。

「僕も当選おめでとうのメールが来てた」と言いながらスマホを俊輔さんに見せた。

「マジか!やった!俺と零さんとずっと友達だぜ!」

俊輔さんが肩を組んできた。

僕は俊輔さんの喜びを大切にしたいので、釣られ笑いをした。

けれど——おかしいと思っている。

周りを見渡すと、他の生徒は喜びの声は聞こえていない。

多分当選されたのは僕と俊輔さんと二人だけかもしれない。

なぜ二人だけなのかと疑問が浮かんだ。

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