第5話 貴族の決闘 4
こうしてみるとヒロエモはでかい。昔の日本人が白人を赤鬼と勘違いしたなんて話があるが確かにそう思ってもしかたがないようあ対格差があった。それにいつの間に着替えたのか白いスーツを着こなしている。
(なんだよ、白ランの番長とかこわもての俳優のホワイトスネーク気どりかよ)
古い漫画で喧嘩に強いやつはあえて白い服を着るという伝説を聞いたことがあった。服を汚さずに勝つという強さのアピールだったらしい。まあ、ファッションでマウントを取り合う現地の貴族らしい発想なのだろうが。
そしてキルモンを目の前に断たせている。奴のキルモンはさっきまで奴が乗り込んでいたキルモンをそのまま小さくしたような形をしていた。高さとしては俺の腰くらいはあるだろう。こいつを遠隔操作して戦わせるって腹か。
俺はプラモデルでプロレスするのは小学生で卒業しいる。しかも奴のそれは金属製だ。つきあってやるつもりはない。速攻でヒロエモ本人をやっつける。いや、殺す。きれいごとを言うつもりはない。降参に持ち込めるのほどの力は俺にはないだろう。
俺は両手両足にも胴にも装着しているし背中には予備の竹も入れたかごを背負っている。俺は背中から竹を一本引き抜くと竹やりに形を変えた。そして構える。ヒロエモは余裕の笑顔を浮かべている。そして号砲が鳴った。
俺は竹やりを構えて突進する。するとヒロエモは懐から何かを取り出し放り投げた。俺は竹馬をしならせ大きくジャンプして奴の後ろに回った。俺の着地の瞬間だった。
「どぶぐうっ」
俺の声だと気が付く。地面に転がっている。ニの矢三の矢に備えて地面を転がる。断ちあがって地を蹴って高い位置から何が起きたか見る。腹の痛みを感じ始める。家気が逆流しそうだ。ヒロエモの前に何やら腰の高さぐらいの小さい銀色の人型のものがあるのが見えた。こちらを向く。そいつの腕が俺に向いた。
やばいっ。そろそろジャンプの最高到達点だ。案の定、そいつの腕から何か発射された。いや、そいつの腕がロケット的なパンチだった。俺は大竹とんぼを傘の要領で上にさした。タイミングをずらす。そいつは俺の頭上すぐ上を通り抜けた。追尾を警戒する。案の定Uターンしてきやがる。しかも残りの腕も発射してきやがった。
(プラレスじゃなくて超合金ロボだったか!)
今更自分の早とちりに俺は悪態をつく。だが方針が定まった。ロケットを動かしてるのが奴の魔術だ。奴は火系。もともとそのような装置があるわけでもなく魔力の火が推進力なら奴の体重分の質量を燃やすほどのエネルギーが使われた時点で身動きできなくなるはずだ。短期決戦を狙ってくるなら長期戦に持ち込んでやる。
俺は狙いを定めさせないように竹馬ジャンプを繰り返した。もちろん高さもその都度変えている。だが俺はおじさんだった。俺のほうが先にスタミナがきれそうだ。俺は勝負に出ることにした。奴のデカブツキルモンに取り付き蔦を使ってヒロエモ本人をつるし上げて竹やり特攻だ。
俺はホーミングロケット的なパンチを躱しながら奴のデカブツキルモンの前まで近づいた。そのときだった。ヒロエモの高笑いが聞こえた。やばい、反射的に大竹とんぼを回した。次の瞬間。
ごおおおおおっ。
危なかった。轟音とともにキルモンの砲台が火炎放射器のように火を噴くのが足のすぐ下に見えた。ギリギリだった。俺はまとわりつく二本のロケットみたいなパンチに誘導されていたことに気が付いた。
距離をとって着地した。なにやらヒロエモの様子がおかしい。奴は脱いだジャケットでデカブツのキルモンを仰いでいた。よくよく見るとキルモンは黒煙を吹き出しながら全体が炎に包まれている。俺は今がチャンスとも思ったが炎に巻き込まれるのを恐れて遠巻きに見ていた。ロケット的なパンチはそこらへんい転がっている。
しばらくすると号砲が轟いた。
そして怒号と歓声が響き渡る。そんな中、大人数の者たちが燃え盛るキルモンを取り囲んだ。シャーロットが現れた。
「おめでとうございます。あなたの勝ちですね」
「え?」
「彼は白い布地を振りました。もちろん状況から火を消そうとしたのはわかりますが。ここでは決闘で白い布をふることは降参を意味します。例外を認められません。
「あ、そういうことか。あいつもまさかこんな形で終わるとは」
「ええ、人生はなにが起きるかわかりませんね。だからやめられないのでしょうけど。
「確かに」
「あとはお任せいただいておかえりいただいて結構です。ランテスター家の方とフィリップ家の方でお話をつけると思いますので」
「そっか」
帰ろうとは思うがなんとはなしに奴の燃え盛るキルモンを眺めていた。するといつの間にカマイが横に立っていた。
「おごり。儲けさせてもらったから」
そう言って煙草を差し出してくれた。少し迷って受け取った。娘が出来たことを知ってから禁煙した。なんとか出産前に禁煙できた。それ以来久しぶりだった。
咥えてみるとマイが火をつけてくれた。久しぶりの煙草にめまいを感じながらも肺まで煙をいきわたらせて味わった。ゆっくりと吐き出す。
なんとはなしにマイが言った。
「生きようと思った?」
苦笑いが浮かんだ。俺たちはしばらくそうして燃え盛るキルモンを眺めていた。
しばらくして疑問が浮かんだ。
「でもなんであいつあんな下手うったんだろう。魔力でも火の扱いって難しいのか?」
尋ねてみるとマイはたこ焼き屋の屋台で使った油を入れる容器を軽く振った。容器は空だった。初めて見るような笑顔を見せくれた。
俺は声を出して笑った。
それからジジイのところのベテランメイドさんがやってきてお礼に俺たちを屋敷でもてなしてくれるっていうんで久しぶりにたらふく旨いもんを喰って豪華な部屋をあてがわれてこれを書いてるってところ。
そのお返しというかいらないから捨てたいけど関係ないやつは気にしないから呪いはかからないだろってことで俺の薬指の指輪をベテランメイドさんに渡してすっきりした気分で飲んでるってのが最初に書いたいただきものワインってわけ。
たださっきからソフィアっていうヒロエモにいたぶられてた小娘が俺の部屋にやってきて何度か中断しちゃったってわけ。
まあ、むげに帰すわけにみいかないし、でも、。言葉もよくわからないし、頼りのマイは別の部屋だし。それに小娘だし。まあ、異世界人だし十三歳で結婚とかがありうる時代だからだと思うんだけど見た目は十分大人だからさ。間違い起こすわけにもいかないし。貴族なんて敵に回したくないしでさ。で、これを書いてるから、なんつってあんまり相手にしないようにしてるのに泣いたり、笑ったりするソフィアに振りまわされちゃってさ。
予定よりもだいぶ多く書くことになっちゃった。
でも、そろそろやばいかも。疲れてるはずだからすぐ寝たいはずなのに。おじさんなのに。さっきからコンバインオッケーの緊急事態宣言が止まらない。
誰かにとめてもらわなきゃ、このロマンティック。ってことでマイを叩き起こしに行くわ。
それじゃ、また書くよ。
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