もらった一文でSSを書く
古海うろこ
地獄で踊ろう
結局、釈迦堂が部屋から出てきたのは三日後だった。おれはその間ずっと扉の前でうずくまったり、時々釈迦堂に声をかけたり眠ったりしていた。現れた釈迦堂は随分やつれて、頭もぼさぼさで、髭も生えていたので、これはゼミの女の子たちが見たら泣くな、と思った。おれはお前がどんなふうになったってそばにいてやるのになあ。
「富木、俺、やっぱりあいつを殺すよ」
七十二時間、釈迦堂は考えた。あらゆる世界線を旅して、けれどその中にひとつだっておれと一緒の未来はあった?
「なあ、飯食いに行こう。その前に風呂だけど、この前打ち上げした焼肉屋、個室もあるんだって。あ、焼肉なら風呂入っても一緒かな」
「富木」
「最後の晩餐だ、いいだろ」
おれだってずっと考えていた。釈迦堂が望むなら地獄で踊ろうとさえ思って、繰り返しシュミレーションした。おれが囮になって、釈迦堂が、背後から。でももういいよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます