第45話 誕生日、そして・・・・・・
「そういえば蓮、誕生日はいつも通りでいいの?」
玲子が何気なく車の中で助手席から振り返って蓮に聞いてくる。俺は少し考えたが、もう自分は変わったんだと胸をギュッと掴み
「いや、1月3日の本当の誕生日でいいよ」
「うふふっ、本当に楓ちゃんには感謝ねぇ」
「あぁ、感謝してる」
蓮と玲子からお礼を言われ、楓が恥ずかしそうに顔を腕で隠している。
「どうしてですかっ?私はなにも・・・・・・」
「実は俺、誕生日に浮気されたんだ、それからトラウマで家族には1月2日に誕生日を祝ってもらってたんだ」
楓はそれを聞いて申し訳なさそうにしていた。
◆ ◆ ◆
昼、目覚ましがうるさいほど鳴り、目が覚めて階段を降りてリビングに向かうと、パンッパパンッとクラッカーが蓮を歓迎してくれた。
蓮は起きたばかりなので、なにが起こっているのか理解が追いつかなかった。
(そうか・・・・・・誕生日だったか今日)
自分で誕生日を忘れていたことに、ふふっと少し笑みをこぼす。
「誕生日おめでとう蓮ー!」
玲子の祝いの言葉に続けて、楓や雛、裕介が「おめでとう」と言ってくれた。
そのあとは、みんなでご飯を食べて、いろんな話をした後、裕介や玲子からは誕生日プレゼントとして、スニーカーを、買ってもらった。
雛からは、靴下をもらった、別に無理して買わなくていいとは言ったものの、やはりプレゼントは妹からだとしても嬉しい。
最後に楓が顔を赤くしながら、雛に背中を押されて、ラッピングされた袋を渡してくる。
「こ、これっ、気に入るか分かりませんが・・・・・・」
「開けてもいい?」
楓は頭をコクコクと小刻みに縦に振る。
ラッピングを少し勿体ないと思いながらも外し、中身を取り出すと、ネックレスのような物が入ってあった。
「ネックレス・・・・・・?」
「はいっ、似合うと思いまして・・・」
「ありがとうっ、大切にするよ」
正直、玲子や雛には悪いが楓からもらったプレゼントが一番嬉しかった。
泣きそうになっていたのを雛にバレそうになったのは内緒だ。
「よかったわね、蓮」
「うん」
その時の玲子の表情はいつもの蓮を
「あの・・・・・・蓮くん?後でちょっとお話が」
楓が耳元で周りに聞こえないように蓮に呟く。
ふわっと甘い、いい香りがして、サラサラの髪の毛が横に流れる。
「分かった・・・・・・」
蓮も小さく頷きながらそう答える。
◆◆◆
晩御飯を食べ終えたあと、二階のベランダに楓に連れ出された。
「ごめんなさい、時間をとってしまい」
そう言って楓は頭を下げてくる。深刻な問題でもあるのかと、少し緊張していたが、その後の楓の照れ顔とふにゃっとした微笑みに緊張はなんてものは消え去った。
「それで、どうしたんだ?」
楓を見ると、少し唇が震えていた。
「あの、やっぱり我慢できないので単刀直入に言いますっ」
ピロンッと音が鳴ったような気がしたが楓の話に集中する。
「私と付き合ってくださいっ」
楓から付き合ってという言葉を聞いた時、心臓が飛び出るかと思った。
ドクンドクンと鼓動が速くなる。
「もちろん、いいけど前の約束は・・・・・・」
楓の顔を見ると、とても赤くなっていて、瞳から今でも涙が出てきそうなほど、うるうるしていた。
「じゃあ、仮のお付き合いということにしましょうそして蓮くんが自分に自信を持てた時、今度こそ蓮くんから告白してください」
それを聞いて、泣きそう、いや涙がポロッと自然と出てきてしまった。
悲しいというよりも、安堵や嬉しさで泣いていた。
楓が泣いている俺の顔をみて、少しふふっと笑いながら、手を前に差し出してくる。
答えはもう決まってる。
俺は楓の手を握り、自分の胸元は引き寄せ、思いっきり抱きしめた。
「こちらこそっ、仮だけどよろしくっ・・・・・・」
ギュッと抱きしめていたら、楓の手が俺の背中をギュッと抱き返してくる。
とても心地よく、とても暖かかった。
◆◆◆
楓と仮のお付き合いをすることになった次の日に、自分の家に帰ってきたわけだが、玲子には、すぐに付き合ったことがバレてしまった。
なんでも、そういう雰囲気になったらしい。
「本当に久しぶりに感じるな」
蓮は自分の家に帰ってそうそう、ベッドに倒れ込んだ。
「なんだか、落ち着きますっ」
「あぁ、もう二人じゃないと逆に落ち着かん」
「ふふっ、私今すごく幸せですっ」
「・・・・・・そうか、奇遇だな、俺もだよ」
3学期が始まる
長らくお待たせいたしましたっ!これで一応二章完結でございますっ。
少し忙しかったり、モチベーションが上がらなかったりして、小説を書けないでいました。申し訳ありませんっ
続きを読みたい、面白いと思った方は星をよろしくお願いしますっ。
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