第8話 いつも通りの日常かと思ったら
テスト期間が終わり、また普通の基本だらだらした生活に戻った。
バイトから帰ると、ブロンドの髪を揺らして、ニッコリ笑う、楓が居る。
俺はいつの間にかそれが当然のような生活になっていた。
1ヶ月も一緒に住めば、その
「あっ、もう少しでケチャップ無くなりそうなので明日学校の帰り買ってきますねー」
「助かる」
そんな何気ない会話を毎回している。なんかの本で幸せとは、何気ない日常から生まれるなんて本を読んだことあるなと思い出していた。
◇ ◇ ◇
今日はバイトが休みで、学校が終わって帰っていると、男性に声をかけられた。
その男性は、身長は大体蓮が177〜8なので、180くらいあるだろうか、結構大きな人だった。
少し迫力と威圧感があり、少しびびってしまうくらいだった。
「あのーすみません」
「うわっ?!・・・・・なんでしょう」
「驚かしてしまってごめんなさい」
「大丈夫です」
そんな会話をして、帰ろうとしたところ、もう一度その男性に呼び止められて、足を止める。
「ここら辺で、髪の毛が金髪の可愛い女の子を見ませんでした?」
「はい?・・・・・・見てないですね」
「そうですか」
ありがとうございました、と言いその男性は去っていった。
まさか・・・・・・ストーカーの
天気は曇りに属するが、雨雲があったので、一雨来るんじゃないかと予想していた。
今日は楓はスーパーに寄ってからくるので、
「久しぶりだな、家に入る時一人なの」
いつも楓が先に帰っているので、スタスタと玄関まで出迎えてくれるのだが、今日はそれがなかったので、なぜか寂しさを感じる。
蓮が帰ってきた数分後に玄関がガチャッと開く音がした後に
「ごめんなさい遅れました」
と言いながら、楓が家に帰ってくる。そのあとに慌てて料理を作っている。
しかし、これといったミスがないのが凄い。どんなに焦っていても、手抜きをしないところも感心するところだ。
「じゃあ食べましょうか」
「おう」
そんな会話で楓が作ってくれたオムライスを口に運ぶ。やはりうまい、多分お店を出しても、儲かるほどには美味しいと思う。
「今日も普通にうまい」
「ふふっ、ありがとうございます」
ご飯を作ってもらっているのだから、美味しいくらいは普通に言っている。
いつも言っている筈なのに、楓はいつも嬉しいと言って、にっこり笑う。
(あれっ・・・・・・ケチャップ出なくなった)
ケチャップの事を楓に言おうと思った時、家のインターホンがピンポーンと部屋に鳴り響く。
俺が立ち上がろうとした時、楓が私が行きますよと言って、玄関の方に進んでいった。
ケチャップが、ないといくら楓の料理でも、やはり一味足りない。
(ケチャップの事を聞こうと、玄関に身を乗り出し)
「なぁ、ケチャップの替えってどこに・・・・・・ある」
すぐに異変に気がついた。楓の顔は見えないが、
よく見ると、その男は帰る時に会った、背の高い男性だった。
「久しぶりだな楓」
久しぶり?気のせいかもしれないが、男性がそんな事を言っていた気がする。
「・・・・・・お、お父さん・・・・・・」
俺の体に一気に緊張が走った。楓の口からその男性に向けて、お父さんという言葉が出たのだから。
嫌な予感がし、大変なことになるんじゃないかと思い、スマホをポケットから取り出して、バレなそうな棚に録画して置いておいた。
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