ゼロイチ
海里
第1話 planning
ゴールデンウィークにつきあい始めた
それでも休日は二人揃って出かけている内にお互いの距離感も徐々に掴めてくる。
その中で話し合った結果、月に一回はキャンプデート、最低もう一回はそれ以外の休日にデートをするを基本ルールとするで合意した。
キャンプの方のコーディネートは維花が行い、立夏はキャンプ以外のプラン立てを行うという得意な方が得意なことを考える、検討内容は随時slackで共有することが付帯条件となった。
業務ルールのような決定事項にお互い慣れている分やりやすさはあったが、もう少し一緒に相談する風にすべきだったかと思ったが、結局維花は場所のリクエストやキャンプ案に対しての選択は求めてくるものの、基本的には自分でどんどんキャンプのプランニングを進めている。
というかエンジニアとしてのスキルレベルが全然違いすぎて、本気で調整モードに入っている維花には割り込むことも立夏にはできない。
立夏担当分のプラン立ては維花の会社のスケジュールを見ながら検討するようにはしているが、キャンプに行く以外の土日は大抵どちらの日かに維花の仕事が入っていた。
だからこそ維花の家でのお家デートを提案しているものの頑なに拒否されている。
さすがに他に恋人がいて一緒に住んでるようなことはないとは思うが、それ以外となると心当たりがあるのは壊滅的に部屋が汚いとかだろうかと貧弱な想像力を立夏は膨らませる。
維花は仕事については真面目だが、プライベートは好きなものに対してはまっしぐらで、それ以外は全く興味のないマイペースな性格だということは、つきあい始めてから更に実感したことだった。
今更それを嫌うわけではないが、どこが0(off)か1(on)かの分岐ポイントなのかは絶賛調査継続中だった。
絶対AB型だよね、維花さんって。
「なんで男物の服見てるんだ? 彼氏?」
そう言ってきたのは最近隣の席に座っている同期の
昼食を自席で取りながらもメンズブランドのページをサーチしていると、愛妻弁当を食べていた一汰が興味深そうに見てくる。
「そう言うんじゃ……あるのか、いや違うな」
「どっちなんだよ」
「ちょっと参考までに見てるだけ」
そう誤魔化してブラウザを閉じた。
事の発端は先週の週末デートでキャンプ用品のアウトレットに行ったことから始まる。
一人分しか揃っていないものを二人分揃えると維花は上機嫌でキャンプ用品を買い込んでいて自分の分だからと立夏が払おうとした所を、全部維花が買ってしまったのだ。
なかなかのお値段でさすがに立夏も悪いという思いがあり、次回のデートで立夏が維花に服をプレゼントするということで決着がついた。
その上での下調べの真っ最中だったのだ。
困ったことに今の維花の外見で似合う物と考えると、自然と男物になってしまう。
というか、維花の普段着はほぼ男物だ。本人は髪を切って服を考える手間が減って楽だとしか思っていないようだが、選べとなると夢が膨らむ。
@rikka 週末休めそう。デートしよう。
そんな中、客先に出ているはずの存在からのメンションが飛んで来る。
立夏を部屋に入れてくれないくせにデートには積極的に誘ってくれるちぐはぐさ。本人は意識してないだろうな、と思うくらいには立夏も維花のことが分かってきた。
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