第4話 想い出作り(デート)
日曜日当日、俺は集合時刻の20分前から待ち合わせ場所に来ていた。
いずれ来るはずの先輩をスマホを見ながらチラチラと探す。
いや、誰が不審者だよ!?
なんて、心の中でツッコを入れていると、
「またせちゃったかな?」
振り向いたら天使がいた。
もう一度言おう、天使がいた。
私服の先輩に気圧されていると
「見惚れてないで何か言ってよ、似合ってる?」
「似合ってますよ、似合いすぎて直視できないから帰っていいっすか?」
「帰る気ないくせに〜」
そう言ってぐいっと1歩近づき、顔を見上げてくる。
やばい、今日の先輩は軽いジョークで躱せないぐらいにかわいい。女の子の私服、ヤバイネ。
「ま、まぁ、とりあえず、楽しみますか」
我ながら下手な話題変換だと思いながら、2人でくすくす笑い合った。
気がつけば夕方になっていた。本当に疲れたし、楽しかった。
ジェットコースターに乗ったら、先輩が半泣きになっちゃったり、
お化け屋敷に入っても、やっぱり先輩が半泣きになっちゃったり、
とにかく、学校生活では味わえない、非日常を堪能した。
「今日はありがとう、ほんとにたのしかった...。」
「僕も先輩とデー、おっとっと、想い出作りできて楽しかったですよ」
「もうっ!!あと、それとさ...。」
先輩の声のトーンが下がった。
「私、受験で忙しいと思うから、受験終わるまでは逢わないようにしようと思うんだ」
そっ、か...。
「そ、そうですか、受験大変ですもんね。頑張ってください、まぁ逢いたくて逢いたくてたまらなくなっちゃったら、いつでも呼んでくださいね?」
俺は、この機会しかないと思っていた。今日こそ、先輩に想いを伝えようと。
でも、そんなこと言われたら、今伝えるなんて、到底無理じゃないか。
だから、またくだらないジョークを入れた。
先輩が勉強に集中できるように。
「うん...。」
あれ、今のところは、また先輩も何かくだらないことを言い合って、笑い合って、さよならするところじゃないのか?
先輩も違和感に気づいたのか、慌てて笑顔を浮かべて
「受験が終わったら、また逢いにきてよ。まぁ君がそれまでに寂しくて死んじゃわないか心配だけど」
そういって今度こそ、くすくす笑い合った。
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