第九話 能力
「つまりあなた方は神より与えられた選ばれし存在なのですよ」
恍惚とした表情で高らかに褒め称える
自らの化学力に心酔しきった
「神か……。仮にそうだったとして、お前の言う数値で劣る次世代で俺達を止められるのか?」
「くつくつくつ。例え数値で劣っていてもそれは些細な差。些細な質の差であれば量があれば圧倒できる! こんな風にね」
一人は
「ちっ……さすがにこの数はキツイな」
「泣き言はいいが、殺すなよ」
「無事か?
「私は平気。だけど
頭を抱えてうずくまる
「おやおや? まだ先ほどの話を引きずっているのですか?」
「あの事故の犠牲者に罪悪感など抱く必要などありませんよ。研究員はともかく被験体はあと数日の命だったのですから」
「どういうことだ?」
「彼らには処分命令が出ていたのですよ。能力発現の見込みなしと判断されてね。使えないゴミを生かす為の費用などありませんから」
「くそったれが!! ずっと
「仲間ですか。役立たずだったあれらにお似合いな陳腐な名称ですね」
頭に血が上った
「がっ!?」
「
「ほら一つ神に選ばれた存在を摘み取った」
腹に重い一撃を食らった
「
呼びかけに答えはなく、ぴくりとも動かない。
「さあ、残りもやってしまいなさい」
「くっ! このままじゃこっちがやられるぞ!」
「だからといって、この子達を犠牲にするのか!?」
「そんなことはしたくない! けど……」
「ぐはっ!?」
「
「こっちも、限界……」
「
振り向いた
衝撃を覚悟してぎゅっと目を閉じた
恐る恐る目を開けると少年が宙で己の右足を拘束するものと格闘していた。
他の子供たちも動きを止めている。
まるで見えない何かに身動きを封じられたかのような子供達の様子に、
「何が起きているのですか!?」
「幻物質の集合体でできた巨大な手による拘束。おそらく我々の外面強化の数段上をいく能力」
「幻物質の集合体だと……!?」
突然の出来事を必死に理解しようとする
その言葉に流石の
「そういや、お前らには見えないんだったな」
「まさか……」
「いってえな……。ちったあ手加減しろっての。ほらよ、これでうっすらとあるのは分かるか?」
立ち上がりゴーグルを外した
「これが……幻物質……? ……くっふははっ、ははははは!! 素晴らしい!! やはりあなた方は素晴らしいですよ!!」
「……やっぱり狂ってんな。おい、さっさと」
「ただちに彼らを捕縛しなさい。命懸けで!!」
「!?」
「嘘だろ……。おい、やめろ!! そんなことしたら本当に死んじまうぞ!!」
「
想定外の事態に慌てる
すぐさま
「……めて」
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