異世界勇者と巡る!鹿児島・指宿温泉郷へようこそ!

須賀和弥

プロローグ 指宿温泉郷にようこそ!

 夕日に照らされて湯煙がゆらりと立ち上る。

 遠くから聞こえる虫の音を聞きながら私は玄関の掃き掃除を終えて草むしりをしていた。


「あ~! 腰痛い!」


 とんとんと腰を叩きながらうーんと伸びをする。

 私の名は湯浴由美。この宿で住み込みのアルバイトをしている女子高生。

 私が言うのも何だけど、温泉郷の宿「指宿乃宿」は、ちょっと変わったところにあります。

 宿屋の周囲は海に囲まれていて、一日に二回だけ「砂州」と呼ばれる砂の橋が出来上がります。

 神秘です! 奇跡です!

 この地に訪れる観光客はこの砂の橋ができる約二時間ほどしか島に滞在することはできません。島には監視役の人がいて、砂の橋が消える前に島に残っている人がいないか確認しています。

 そして、砂の橋が消えている間だけ、指宿乃宿はこの島に出現します。

 ここはこの地とは異なる世界とを結ぶ宿。様々な世界の神や人間や亜人、時には妖精が訪れます。

 私はこの仕事が好きです。これから異世界から観光客にこの地の素晴らしさをオススメしていきます!


 そうこう言っている間に、お客様が来られました。

 今回のお客様は「勇者御一行様」です。

 勇者、女剣士、魔法使い、精霊使いの四人パーティーです。

 さて、これからが私の仕事。異世界の勇者様にこの地の素晴らしさを伝えていこうと思います!

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