電波塔の夢
爆裂HANABI
一
一年間毎日見続けた階段。降りるにつれて昨日の雨のせいか湿気を孕んだ夏の空気が嫌に体に纏わりついていく。
心臓の音がまるで靴音とリンクしているかのように大きく自分の中へと響いている。
座って小説を読む男、鏡を見ながら前髪を気にする女。気だるそうに欠伸をする学生。
ここには誰一人自分を知る人はいない。
遠くから電車の小気味良い走行音が聞こえてくると、私は大きく息を吸い込んだ。
もう覚悟は決まっている。
私は何度も脳内で繰り返した場面をなぞるように、黄色い線を踏み越えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます