第21話 咲薇のチーム
風雅と咲薇が打ち解け次第にメンバーと話せるようになると、今日のことなどを話してる内にすっかり暗くなってしまった。
『咲薇ちゃん、よかったらウチ来ない?今日泊まってきなよ。そんなに広くないけど』
『ホンマに!?えぇの!?嬉しい、助かるよ!』
ということで、みんなで愛羽の家に泊まることになった。
年頃の少女が7人も集まると当たり前のように飲み会になり、暴走愛努流のことを改めて咲薇に知ってもらった。
『なんや愛羽、キミ結構すごい子なんやね。さすがあんな走りするだけのことはあるわ』
この前髪パッツンの小さな少女が、暴走族を結成したり東京連合と戦ったなんてことは咲薇には信じられなかった。
『そういえば咲薇ちゃんの乗ってる単車って』
『あれはCX650や。カッコえぇやろ?』
『咲薇は暴走族とかやんねぇのか?つーか、大阪にも暴走族とかレディースってあんのか?』
玲璃が聞きたいことは大抵その辺だ。
『あるある。あるし、あたしも一応チームに入ってるよ』
『一応って?』
『んー、幽霊部員みたいなもんや。集会とか集まりとかもう行ってへんのよ。今の頭の子とちょっと合わんくてね』
『大阪の暴走族かー。どんななんだろうなー』
『チームはなんて名前なの?』
麗桜と蓮華はこんな時でも特訓を欠かさない。話を聞きながら蓮華のパンチを麗桜が手で受けていく。
『暴走侍。浪花の風切る暴走侍や』
『今の頭と合わないって、なんかあったのかい?』
『その子あたしと同い年なんやけど。あたしらの1個上がとっとと引退してしまってその子が総長やることになったんやけど、合えへんて言うか何かとあたしのこと目のカタキにすんねん。だからもうずっと顔も出してへん。まぁ、単車は1人で乗ってるけどね』
『そうなのね。でも一緒にいる仲間って大事じゃない?咲薇ちゃんは寂しくないの?』
蘭菜がそうやって聞くと咲薇は笑って言った。
『あはは。愛羽たちみたいな仲間やったら欲しいけどな。ホンマ見てて羨ましくなるよ。寂しさか…寂しさはもう忘れたかな』
そんな風に言って笑う咲薇が愛羽たちには寂しそうに見えてしまった。
『咲薇ちゃん。なんかあったらいつでも言ってね。またみんなで遊び行ったり走り行ったりしよ!』
『そーだぜ。今度はあたしらも一緒に行くからな』
咲薇はこんな風に言ってもらえて嬉しく思った。チームに顔を出さなくなると周りは離れていき近頃は誰とも会っていない。
『ありがとう…なんか照れるわ』
少し恥ずかしそうに笑う咲薇はとても可愛いかった。
その日は夜中まで盛り上がり、次の日咲薇は大阪に帰った。
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