ラストミッション

バブみ道日丿宮組

お題:出来損ないの第三極 制限時間:15分

ラストミッション

 ……勝ち取りたい。

 なんとしても第三極を作り出さなければ、地表に津波が襲い始める。

 だが、人を失い続ける海中作業にも苦の感情が積もってく。

 少しずつ水深から凍らせる技術は確かに効果はある。その技術を使う器具は凍らせ続け、溶けるという現象は今のところ起きてない。

 博士が言うとおり、昔の南極、北極よりも温度に耐性があるものができてるということだ。

 ……津波が来る前にその壁となる極地。

 それを作り出すのが僕らの使命であり、死命でもある。

「……海中の半分か」

 器具を離し、周りを見渡す。

「そうだな、やっとだ」

 海中にいるメンバーはあと二人。

 僕と悪友のみだ。

 他は海中が凍るのに巻き込まれ壁の一部となった者や、作業から逃げ出したがために鮫に襲われた者、精神崩壊を起こし酸素ボンベを外したものと様々だ。

 100人がわずか半年で2人。

 はやいのかおそいのかわからない。

 ただわかるのは、今のままじゃ出来損ないの第三極があるだけで地表に残った人類を守れない。

「人員応募はかかってるんだ、気長にいこうぜ」

「そうだね。だけど、津波がくるのもタイムリミットが近い」

「けっ、嫌な作業だな。人選は狂ったように金のない奴らばかり。ようは死んでも良い連中ばかりってのが気に食わねぇな」

 そういいつつ悪友は海中を器具で凍らせてく。

 気に食わないことでもためになることは嫌でもやるのがこいつの良いところだ。仲間はだからこそついてくる。

 だが彼らも精神は彼と同じではない。人は1人1人ポテンシャルも個性も違う。仲間割れしてたのもいたっけ。仲裁したときの悪友は悪魔だったな。

「どうした。笑い声なんか出しやがって」

「死ぬことが決まってるからって、人を凍らせて壁にした奴がいたんだなって思い出してさ」

「はん、そうだな。そんなクズも世界平和を自分自身でするとなれば本能だろう。死んでも守れるものがあるってな」

 言葉は冷たいが声には怒りの色が入ってた。

 仲間を失うわけにはいかないが環境が壊れてしまってもしかたがない。

 だから、彼は自分から悪を演じた。

 その影響で誰も反乱をしようとするものはいなくなった。

 まぁ……逆に逃げる人が増えたんだけどね。

「いつか僕らも壁になる必要があるかな」

「あぁ……足りないパーツとしてな」

 その時僕らは英雄と言われるのだろうか。それともただの馬鹿たちとして世界に笑われるのだろうか。

「牛丼食べたいな」

「そうだな、食べられる胃があればよかったんだがな」

 ないものはない。


 そう僕らはただ極地を作るための人になったのだからーーもう帰れる場所も身体もない。

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ラストミッション バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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