ファーストコンタクト

バブみ道日丿宮組

お題:不本意なふわふわ 制限時間:15分

ファーストコンタクト

 タブーとは不本意ながら破られるものだろう。

 ボクが世間知らずということもあったかもしれない。

 だから、彼女とのファーストコンタクトは最悪なものだった。


「……結構大きなものをお持ちで」

 バチンという音とともにボクの左頬は傷んだ。

「ふわふわしててボクよりいいじゃないか!」

 思わず感想が飛び出た。

「場所と時を選んでよ!」

 彼女は顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「えっとーー」

 場所と……周囲を見渡す。時は体育の前の休憩時間。着替えのための移動時間。ボクらは更衣室への移動途中。

「ーー大丈夫じゃない?」

「大丈夫じゃないよ!? ここ廊下! まだ更衣室着いてないから! なんで脱がすのかな!?」

 急いではだけたブラウスをしめて更衣室に逃げ込んだのは……今日から一緒に暮らすルームメイト。

 はて……コンタクトの仕方を間違えただろうか?

 いや……兄さんがいうにはボディタッチが一番効果的だって言ってたのだけど、

「……叩かれた」

 と、早急にメール送信したら、すぐに返事がきた。


 ーー冗談と、嘘を信じるなっていつも言ってるだろ。逆効果だ。むしろ女の恥になる。


「……あぁ」

 身体の中を熱が駆け巡るのがわかる。

 気がつけば、周囲がいつの間にかボクをへんな目で見てる。

「うぅ……」

 これ以上の羞恥をボクはしてしまったんだ。男兄弟と一緒に生活してたせいか、忘れてた。女の子ははしたないことはしない。ましてや異性に簡単に素肌を見せないものなんだって。

 謝らなきゃと、急いで更衣室に入ったら、涙目のルームメイトがそこで体操服に着替えるべく苦戦してた。明らかな動揺……と思われる。

 うん、ボクが悪い。

 急いだ。理由は簡単。これからを一緒に過ごすのに変な関係になるのは嫌だし、へんな誤解をさせたままにするのも嫌だ。

 兄さんが悪い。兄さんが悪い。兄さんが悪い。兄さんが悪い。兄さんが悪い。

 よし、顔はまだ赤いかもしれないけど、いく。

「あ、あの、ご、ご、ごめんなさい! 女の子と仲良くするにははだけさせるのが一番だって聞いたから!」

「どこのどいつよ、そいつ絶対殺す……コロス、コロス……」

 涙目が消えた。良かった。けど……殺意がめらめらと目に見えるよ。

 休みに兄さんを連れてこさせよう。

 一緒に謝れば、半殺しぐらいで許してくれるかもしれない。

「本当にごめんなさい。ボクは君と仲良くなりたかっただけなんだ」

 頭を下げる。

 もっと殴られても、蹴られても、刺されても、何をされてもボクは耐える。耐えなきゃいけない。それだけの屈辱を与えてしまったんだ。

「うん、許す」

 ボクの目にきたのは、手だった。

「許してくれるの?」

「今回だけよ? ほんとに」

 

 握手してボクらは友だちになった。

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ファーストコンタクト バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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