ご主人様と執事
バブみ道日丿宮組
お題:紅茶と使命 制限時間:15分
ご主人様と執事
「さぁ飲んで、いえ飲みなさい」
ご主人様はボクを見下す。
執事であるボクには否定権は当然なくて……でも、
「飲まなきゃダメでなんですか……? どうしてもです?」
ご主人様が調合した怪しい紅茶を飲むというのはどーしても拒否反応が現れてしまう。
今までなったのは猫みたいに甘える、犬のようにほえるという変貌っぷり。
ご主人様はへんたいだからそういう扱いをしたいのはわかる……けれど、人権ってものが……、
「いい? あなたは可愛いの。もっと可愛くなる練習をしなきゃだめ」
躊躇してると判断したご主人様は紅茶を手に持って、自分がまず口に含んで、
「ん……!」
口をこちらへと突きつけてきた。
こうされるとボクはもう使命をまっとうするしかない。
「ん、んんんっ」
ご主人様の口から紅茶がボクの中へと入ってくる。おまけに舌までもがご主人様が絡めてくる。そんなことをしなくてもボクは逃げないのに、手首まで掴まれてしまった。
「少しこぼしてしまったわね」
「あ、ダメです。お召し物が汚れてしまいます」
「ただの制服じゃない。何着もあるんだから大丈夫」
そういってご主人様は制服に色がつくのも構わず、ボクの口からこぼれた紅茶を拭いてく。その顔はどこか嬉しそうに見えた。
「よし、綺麗になった。これからクラスで執事との仲の良さを見せるんだからしっかりしなさい」
そう……発表会があるからこそ、ご主人様はボクの理性を狂わせて普段しない甘えん坊な姿を見せたかったらしいのだけど、
「でも、お召し物がボクのせいで……それでは」
「あなたが汚れた方が私は嫌よ。それにあなたがこぼしたものも私のものなの。だから、これはそうね……」
と、視線を制服に落とし、
「あなたがここにいるということだわ」
その言葉でボクは薬が効いてきたのか、
「きゃはは、だ、だめです。ボクは執事ですから、そんなものにはなれませっやん」
口がうまく回らない。
思考はある程度変わってないけど、
「ほら、私の心臓ドキドキしてるでしょ」
ご主人様はそっとボクの手を取って自分の胸に当てた。
柔らかく温もりがある胸の奥から確かに心臓の鼓動が聞こえた。
「ひゃ、ボ、ボクがイタイケなこをと、すんにゃんです!?」
熱が身体を駆け巡ってく。
ご主人様の姿が脳裏に埋まってく。
「ふふふ、ほんと可愛いんだから」
ほっぺたを撫でるご主人様の手は優しくて、そのまま眠りそうになったけど、
「ほら胸はあとでいくらでも触らせてあげるから」
胸に触れてた手を取って、準備室から発表会がある広場へと向かったのだった。
もちろん、ボクは恥ずかしい醜態をさらしてしまったのだけど、ご主人様はとても満足してた。あとなんでかわからないけど、ボクの評判もあがってしまった。
ご主人様と執事 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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