平坂アンダーグラウンド

小鳥頼人

プロローグ

 俺の名は片倉巧祐かたくらこうすけ

 今から俺視点で俺の実に馬鹿馬鹿しい日常を描いていきたい。

 なぜか? 決まってるじゃないか、暇だからさ。

 俺個人についてはそこまで紹介するほど価値がある人間じゃあないけど一応自己紹介をば。

 ごく普通の高校一年生――だったんだけど、とある事情により高校を中退、十六歳にしてプー太郎ロードをひた走る超絶ダメ人間っす。

 中退した理由はまたいずれ。作者が覚えていれば、だけどね。

 趣味は寝ること、食べること、エロについて考えること――ってこれは人間の生理的欲求で誰しもに必要な事柄だわ。

 いやまぁ、それ以外にこれといった趣味も特技もないのでこう話すしかないんだな、これが。

 俺が住んでいる場所は東京。日本の首都だぜ。顔だぜ。玄関だぜ? 常に日本の最先端を行き、日本列島全体を引っ張る最主要都市だぜ。

 まっ、それはあくまで特別区を含む東京の大部分の話であって、俺が住む地はそうではない。

 人口は万単位。万のくらいを四捨五入すると繰り上がるくらいには存在する。

 人口密度は四桁と数値上ではほどほどに見えるが、特別区に勤務している人や買い物に出る人の数を踏まえると、昼間人口ちゅうかんじんこうはかなり少ない。

 そう、まさにここは東京の中にある超ベッドタウンなのだ。

 通勤や遊ぶ際には都心におもむき、寝る時など自室でのんびりしたい時はこのベッドタウンでまったりと過ごす。

 実に都合のいい――ゴホン。もとい効率的に日々を消化している住民が多い。

 以上が、俺が住む地――『平坂市ひらさかし』の長所でもあり、同時に短所でもある。

 はっきり言ってしまえばドキング・オブ・DOINAKAどいなかだ。あ、俺比の話ね。

 平坂市は市として産声うぶごえを上げてからまだ十数年しか経っていない新鮮な地。

 だがしかし! アピールポイントが何もない上に絶賛人口流出進行中で早くも衰退化が著しい。

 簡潔にまとめると魅力がない市である! ああ悲しき我が市よ。

 平坂市をこんな状態にしやがったのはあのクソ市長なんだよな。どうしてあんなのが当選したのやら。俺ぁ投票した人らに理由を問いたいよ。

 っと、愚痴が続いてしまいそうなのでプロローグはここまで。

 これはそんな平坂市を舞台とした、ハチャメチャ嘲笑ちょうしょう劇である、まるっ!

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