1-5
朝登校すると、靴箱の中に紙が一枚入っていた。
「明日の朝、6時40分に体育館裏で待っています。 -草間優祐-」
草間優祐。確か同じクラスの男子だったと記憶している。
彼は、私でさえ認識が薄いくらい、クラスの中では目立たない存在だ。
何があるのだろうか。脅迫か、告白か。
脅迫されるような行動はした覚えが無いし、そもそも脅迫であれば差出人の名前なんて書かないだろう。
かと言って私は告白されるような「良い人」では無い。
どちらにせよ、昨日から忌引で学校に来ておらず、何も接点のない彼の手紙に、私は不審感を覚えた。
私はこの不審感を抱きながら、一日を過ごした。
しかし、手紙のことなど、いつの間にか忘れていた。
手紙で指定された「明日」が来た。私はいつも通り、7時に起床し、7時30分に学校に着いた。
いつも通り、靴箱に靴を入れる。靴箱を見て手紙を思い出したが、そこに新しい手紙は無かった。今日私が行かなかったことで、あきらめたのだろうと思った。
何ら変わりない一日だった。私はいつも通りバカで、いつも通りいじめられて、時折眺める空はいつも通り鉛色をしている。この生活から解き放たれるなんて、微塵も思わなかった。
帰ろうと靴箱を開けると、昨日のものと一字一句同じ文が書かれた紙が入っていた。
「告白なら断ろう。」そう思って明日は行く決心をし、6時にアラームをセットした。
次の日、いつもより1時間早く起きた私は、朝食を済ませ、学校へ向かった。朝の風は目が覚めるほど冷たかった。
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