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私と奴らとの関係は、高校入学直後から始まった。
事の発端は、私が首席でこの高校に入学したことだ。
仲のいい同士で成績上位を独占したかったのに、見ず知らずの私が上位に居たのが気に食わなかったらしい。
しかも首席だったことが、奴らの嫉妬をより大きくした。
私はこの学校で唯一、隣県から合格した。どうしても中学校の同級生達から逃げたかったのだ。
というのも、中学時代、些細なことで友人と喧嘩したことをきっかけに、その元友人から陰湿ないじめを受けていたのだ。
なんとか別の口実をつくり、県外の高校を志望した。
両親は、最初は驚いたものの、かなりあっさり県外への進学を許してくれた。
ただ、父親だけは、
「俺は聡里の本音が聞きたかったな。」
と、私の言葉が口実であることを見透かしていた。
そんな両親は、私の高校入学を見ることなくこの世を去った。
合格発表の日だった。両親は私を一人合格発表のある高校へ送り出し、合格祝いをするために買い物をしていた。その帰り、不運にも事故に遭った。二人とも即死だった。
その日の夜の天気予報では、降雹を報じていた。
両親を亡くした私には、親戚と呼べるほど親しい親戚がおらず、高校入学と同時に一人暮らしを始めることになった。
高校近くのアパートを借り、そこに住んだ。幸い、母親は私に一通りの家事を教えてくれたし、二人が残した莫大な遺産は、高校どころか大学卒業まで一回も働かなくても生活できそうなくらい豊富だった。
両親を失った悲しみを癒やす暇もなく、高校の入学式があった。
私はその場で、入学者代表挨拶を読んだ。それで私の首席入学が奴らに知られた。
入学式の直後、帰宅しようとした私の周りに、「彼女ら」は居た。
「代表挨拶した音無さんだよね?」
「首席で合格したんでしょ?凄いね!」
中学時代から不幸続きで疲れ切っていた私は、この嫌味を素直に受け取ってしまった。
「ありがとう。」
そう返したのがいじめの始まりだった。
次の日から始まった理不尽ないじめに反抗する気力は、その時の私にはもう残されていなかった。
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