亡血姫の黙示録

セイ

エピローグ

 噂や都市伝説といったものに登場するオカルト的存在は、九割が虚言である。


 そう聞いて不満を持ったり、文句をいう人も多いであろう。


 しかし、最後まできちんと聞いて欲しい。


 九割、である。


 それはつまり、一割はたしかに〖そういう存在〗が実在するということだ。


 そして、そういう輩は意外と身近に潜んでいる。


 簡単に例えよう。


 大きな光に照らされた明るい地面、そのすぐ際の一切照らされない暗闇からそれらはこちらをじっと覗いている。



 なにが言いたいかのかというと、簡単である。


 オカルトは実在する。


 それを俺はあの初夏の寄るに体感した。


 身を砕かれる痛み、内臓が破裂する痛み、身体から徐々に命がこぼれていく悲しみと共にである。

 

 しかし、俺はそんな地獄のような体験の中で〖それ〗に酷く焦がれてしまったのだ。

 

 闇に中にあってもはっきり分かる、光の全てを飲み込むほど濃密で真っ黒な〖不思議〗。


 俺はそんな彼女に、知らぬ間に惹かれてしまったのだろう。


 おっと、あまり無駄話が長くてもしょうがない。


 要するにこのお話は、暗くて怖い未知の世界のほんのささいな道標、オカルトの世界の歩き方である。


 

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