暗殺者

暗殺者の顔を見る。その表情は後悔、だろうか。


すぐ側に突き立てられたナイフは枕を貫いて抜かれる様子はない。


「だから向いてないって言ったのに」


暗殺者の頭を撫でる。ピクリと反応は返すものの逃げる事も払いのけられる事も無かった。


仲の良かった顔だ。一緒に遊ぶ時は本当に楽しそうで、そして時々思い出した様に暗くなった顔。誰の差し金で近づいたかも、その後どうするつもりだったかも知っていた。


失敗したままこの暗殺者が帰ればどうなるのかも知っている。


だから。


暗殺者と上下を入れ替え、サイドテーブルの薬液をその口に流し込んだ。薬液は期待通りに暗殺者の意識を奪う。


君をあんなやつの好きにはさせないよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る