第27話過去と現在
記憶喪失になってから1ヶ月半ば、俺はあるマンガのキャラクターがこの世界はマンガだ!と気付く、その理由は自分にとって都合のいいことが起こり過ぎている、という理由だった。
俺は戦慄した。恋人も友人も神様だって俺の味方であり、運動音痴ながらも学力も顔もいい。まるで主人公のようだ。
そんな、だったらそもそも人類にばかり都合のいいこと起こりすぎ。全てが作り物ということになってしまうようなことを考えてしまう。
馬鹿らしい、この世界がフィクションだろうと今までのことを俺は肯定している。それでいいじゃないかなにが不満なんだ!胸をはれ!
それほど記憶喪失になってからの俺は幸せであった。
しかしながら過去の無い根なし草な俺は不安になってしまう。神様にお膳立てされた、しあわせ。いつかバブルが弾けるみたいになくなってしまうのではないか…と。
くに部長に電話をかけ、今の幸せに現実味がないと話した。
「赤井部員、最初に見せただろ!酒池肉林の中で笑う記憶喪失者の姿を」
神様のチカラが強かったころはあんなことがいきなり起きていた。さぞかし現実味がないだろう。と、その人のことを思った。
「神様の試練、サボテンの花が咲くところまでは干渉があったが、それ以降は君のチカラだよ!胸をはれ!」
「くに部長は俺のどこが好きになったんですか?」
「善人で頼りになるところ…かな、神様が代わってほしいそうだ」
「人間、地球というのは神の実験室などではない、フィクションでもない。そこに生きる命の積み重ねが今を創ったのじゃ」
「そうなんですか」
「お主程度で作為的じゃとしたら、世の中の大富豪はなんなのじゃ!くだらんことを考えている暇があったら精進せんか馬鹿者!」
そりゃそうだわな!
「ありがとうございました!大黒ちゃん、ガチャでいいの引けると良いですね」
「わしでも爆死するんじゃから、世の中上手くいかないこともある、だからこそ人事を尽くすのじゃ!わかったか!」
「はい、俺は今を真剣に生きます」
「それでいいのです、悪神との闘いは命がけです。あなたも死なないよう考えて実行する訓練をしましょう。明日神社で会いましょう!そうすれば生きる実感をえられます!」
よし!修業して余計なことを考える暇がないよう鍛え直してもらおう。
当日、俺はその日世界が自分を中心にまわっていないことを嫌というほど味あわされるのだった。
「もう、へばったんですか!根性なしですね」
そういいつつ笑う黒闇ちゃんなのであった。
なんで笑ってんの!?
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