第9話ハルちゃんチートすぎる
さてさて、私のやる事はもう終わったと言える
なぜなら黒幕をボコしたから!
いやぁ、長かったよお……ほんと通算100年、過去に戻ること32回…
地獄だったねぇ
まあ今日からは安心して毎日を楽しめるよぅ!
もう流石になんもないと信じたい。それにここ以上の過去には戻れないからねー
起点があの最初の夜だからねぇ
て事で私は惰眠を貪るのだ!
ぐぅ……
「ハルちゃん!ねえ、ハルちゃん!起きて!」
「ぬにゃ……やだ……ねる」
「ちょっとハルちゃん!起きてってば!もうお昼過ぎてるどころか夕方よ!?」
私はごろりと寝返りをうって、のそりと起き上がる
「あ、やっと起きた。もう、ずっと私待ち合わせ場所で待ってたのにハルちゃん来ないんだもん」
ん?待ち合わせ場所?
なんか約束してたっけ?
やばい思い出せない。
それはそうだ、そもそも今日という日は百年前の続きなのだから
一週間前の事でさえ曖昧なのに、百年も前の約束など覚えて居られるはずもないし
私は意を決して聞いた
「あ、あれ?約束?」
「ええ!?忘れちゃったの?昨日の事だよ!?」
「う、うん」
「大丈夫?ホントに……昨日もハルちゃんやばかったけど、今日程じゃないって言うか」
それはそうだ
そもそも昨日の夕方シロンと話したのは、わずか数時間で戻っていたハル
今のハルは累計100年を超えて帰ってきたハルなのだから別人程に中身が違うだろう
「あー、そりゃまあちょっとね。私、おかしかったってどうだったの?」
シロンはハルに昨日の出来事を話した
それにハルはなるほどと、理解する
半分位は忘れていた
覚えていたのは、シロンちゃんの死んでいた姿と、ポメラに黒棺をかけた事くらいだった
そうかあ、私、100人くらいやってたかー
そして今日はその翌日かぁ
当然、後始末もあるよねえ……
「もー、昼にはセレナの街から偉い人来てるんだから、早く行こう」
そうね、事情聴取、あったなー
あたふたと自室の事すら忘れているハルは朧気な記憶を頼りに着替えの服をさがしたのだった
やってきました、この街の役所……
そう言えば、私らの事情聴取しにきてたの誰だったっけ?
思い……だせない……
部屋に通されると、すぐさま部屋に通された
そこに居たのは一人の女性である
「やっと来ましたか…もう来ないのかと思いました」
頭には黒い耳、しっぽはモフモフでなく、シュッとしてる
あ、黒豹!
「申し訳ありません!少し、と言いますかかなり疲労がたまっていたようで……」
シロンちゃんはチラリと私をみる
あ、謝れってことかな?
てゆーか
「なんだ、ミィナさんじゃない」
私がそう言った時、黒豹のミィナは驚く
「え?知り合いなの?ハルちゃん」
「うん、そうそう。この人監察官とか言う人でさ、いや本当は国王直属の部下なんだけどね」
「ななな!」
ミィナさんが驚く
「んでさ、ハチワレ君って言う猫族の人のことが好きなんだよね」
「ふああ!?」
「ちなみに得意魔法は風と闇!国王直属だけあって、第一級魔法まで使えるんだよ!」
「すごい人なんだ!?」
ミィナはわなわなと震える
そして震え声で言った
「ハル、と言ったわね…何処かで私達あったかしら?てゆうかなんでハチの事とか、国王直属の部下の事まで知ってるのかしらね?」
「あ。しまった」
この時点でまだ出会っても居ないことに気づいたハル
そして彼女と出会い、親しくなったのはたしか20歳くらいの時で、やり直しも20回を超えたあたりの事だったのでな良く覚えていたのだ
「まさかこのタイミングでも会ってたとは…あ、そか。だから助けてくれたんだ」
「どう言う事か説明して下さるかしらね…返答如何によっては返せなくなりました」
そう言われた…
ハルは失敗したなあと後悔した後に、まあもう黒幕も居ないから話せば楽になるのかなと、国のトップですら、またハル以外は誰も知り得ない、知らない未来の話をする
そして話した後に思い出す
あ、前回これに近い話をしていたと
ミィナと知り合う前のハルが話ていたなあと
それで目を付けられて非常に動きにくくなっていたのを思い出したのだが…
「はあ、ホントの事なのですか?それ」
呆れるようにミィナは言った
「あー、まあもう片付けたから確認しようもないんですけどねぇ」
あっけらかんとハルは言う
「まぁ確かに私の秘密も知っているようですし、それにしてもライオを片付けたですか。確かに昨夜から連絡は取れませんね。同じ国王直属の部下でしたが…ライオは最大戦力だったはずなんですけど、一体どうやって?」
「対処法を知ってれば楽勝ですよ。ただのデカブツですあんなの」
「あんなのってハル…あなたねぇ、彼は、ライオは単純な戦力だけで部下になった男よ?それをただのといいましたか」
ミィナは軽く取り乱す。なぜならばライオは本当に強かったからだ。
体を鋼のように鍛え上げ、さらにそれを魔法でさらに強化。それになにより、頭が良い
何度か模擬戦を見たことがあったが、単純な魔法戦でも圧倒的に強かった
「狐族と言えば、火魔法と幻術でしょう?そのどちらもライオには通じないはず。だって彼は」
「強力な水魔法、火魔法の上位と言われる雷魔法の使い手で幻術耐性も高い」
ハルは被せるようにそう言った
そのまま続ける
「得意魔法は雷戦槌(トールハンマー)でその武器を雷で作り出す。そして自身も雷同然の動きを見せる…ですよね」
「本当に知っているのね…」
「ええ。ちなみに私、使える魔法は全属性ですよ」
「はい?」
「え?ハルちゃん嘘でしょ?」
「火・水・土・風・光・闇・無・幻・時、全部いけます」
「そんな、どうして…あなた狐族でしょう?それにそんな全属性なんて聞いたことがありません。女神の加護がある人族ですら、5つが限界でしょうに。亜人であれば大体2つ、多くても3つまでしか」
説明がめんどくさくなってきたハルは、尻尾にかけた幻術を解いた
ぼっぼぼぼぼぼぼ!
ハルの尻尾が九本に増えた
「私は狐族ですが、九尾なんですよね」
その時である
シロンはそれを見て半分理性が飛んだ…
「きゃぁぁ!ハルちゃん可愛い!すごい!しっぽがすごいモフモフじゃない!」
そう言って急に尻尾をもふり始める
シロンはモフリストだったのだ
「ああん!もう、シロンちゃん居たの忘れてた!」
ぼふん!
尻尾1本を残して消した
「あああ!モフモフが…」
「とまぁ、こんな感じですよミィナさん。普段隠してますけど、どうも尻尾が増えるごとに使える属性が増えたんですよね」
「そ、そう」
「あ、ちなみに私一人でこの国くらいなら滅ぼせるので喧嘩売らないでくださいね」
事実ハルはやり直しの32回中3回、国を滅ぼしかけた
余談であるがシロンが魔王に覚醒した2回は実際滅ぼした
「はい?」
理解できないミィナ
それを見たシロンがわかる、わかるよと頷く
「まぁ嘘だと思うなら戦ってみます?」
ぶわりとハルから殺気と魔力が押し寄せるが
あ、無理
ミィナはそう思った。走馬灯が見えた。
おばあちゃんが手招きしているのも見えた。
そしてそのまま意識を手放したのだった
「あ…気絶しちゃった…」
「ねえハルちゃん」
「なに、シロンちゃん」
「もっかい尻尾だしてくれない?」
「うん‥‥」
ハルは尻尾を出してシロンが満足するまでもふられたのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます