1~50作家様まで
1 とは様 『冬野つぐみのオモイカタ』
【インタビュー回答】
1 なろう
2 コメディのような気がしてきた
3 ハッピーエンドでありたい
4 へっぽこだけど根はいい子
5 心情を丁寧に書いていけたら
6 日常系をいつか
7 心理
8 『冬野つぐみのオモイカタ』
【あらすじ引用】
人が黒い水を残して消えてしまう事件が世間を騒がせる中、行方不明になってしまった親友沙十美。
人ならざる力を持った犯人を追いつめるべく、人より優れた観察力を持つ女子大生、冬野つぐみが異能を持った協力者と共に親友を救うために立ち向かうお話です。
───レビュー全文
【物語は】
親友の視点から始まっていく。ある者に囚われ、キーワードである黒い水が出てくるものの、まだ事件は謎に包まれたまま。何故彼女は囚われたのか。どうやって囚われたのか。何故彼女だったのか。色んな疑問を残したまま、事件以前の二人の日常へと移っていく。事件から過去へという時間の戻るスタイルは、ミステリーにはとても合ったスタイルであり、一体何が起きるのだろうかという好奇心を刺激する効果を持つ。ここから、主人公視点となり二人の日常風景が明かされていくこととなる。
【物語の魅力】
会話文から始まることには、注視の効果がある。しかもその中で、二人が似たモノ同士であることが明かされており、相手が否定をしないことから、二人がとても仲が良いことも分かって来る。主人公には今まで、心から気を許せる友人がおらず、彼女に出逢ったことを喜んでいたり、その友人を大切にしている様子が伺える。何故二人が友人になれたのか、どうして気が合うのか。主人公の心情が丁寧に描かれているため理由が納得でき、二人の関係が羨ましくも思える。
日常の中では贈り物をモチーフに、素敵なエピソードが盛り込まれており、微笑ましい一面もある。自然な流れで、好意を感じさせたり話の流れがとても巧い。交互に繰り返されていく日常と、親友の現在。その高低差は、日常がか輝かしいほど、親友の現在を絶望が襲い、読者の恐怖感を呼び覚まし、ゾッとさせる。書き方、構成が巧いと感じた。この手法は、読み手によって感じ方が違うかも知れない。
【登場人物と事件の在り方】
はじめは似た者同士で、とても仲の良かった二人。ある日を境にその関係は少しづつ変化していく。しかし読者は冒頭で親友の想いに触れているため、根底は変わらないのではないかと思うに違いない。つまり、何か理由があるのではないかと疑ってしまうのだ。変わらない自分と、変わってしまった親友に寂しい気持ちを持ちながらも、それについて何も言わない主人公。事件は、二人の絆を試しているのかも知れない。主人公の洞察力の良さについても、裏付けのとれるエピソードが書かれている。
この物語に出てくる登場人物は多くはなく、主人公と親友にスポットがしっかりと当たっているように感じる。そして、ミステリーとしてとても面白い。犯人探しというよりは、事件の全容を知りたい気持ちの方が勝る物語だ。
【物語の見どころ】
事件現場と、過去から現在という二場面が交互に描かれている為、非常に感情が揺さぶられる。恐怖と平穏はいつしか恐怖と不安へと移り変わり、気づけばすっかり作品の虜となって読む手が止まらなくなる。この二場面制は非常に面白く、事件現場では事件が進んでおり、過去から現在へ向かう主人公サイドでは、段々と事件についての内容などが分かっていく。その事により、早く続きが読みたいという読者の好奇心を刺激するのだ。
とても構成の面白い作品だと感じた。
ミステリーの好きな方に特にお奨めしたい作品です。
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