Re do
第9話 遭 Encounter
日本に到着した俺。今はスカイライナーに乗り、ノリノリだ。
約半年ぶりに来た日本。向こうに比べるとホコリ臭さを感じる。目もこそばゆく感じるのはブタクサの花粉かも知れない。
そんな事を考えているうちにスカイライナーは上野駅へと到着をした。
と言っても、今は12時。5時間も居られないな…。
俺は時間もある事だし、山手線の渋谷駅で一度、降りる事にした。
久しぶりの渋谷の感想はというと、平日という事もあり人の出は少ない。でもなんだか感慨深い。
とりあえず、キャットストリートに向かう。部活動の後だから何か差し入れを持って行った方が良いかも、と思った訳だ。
確かティファニーカフェがあったはず。多分、中山やその他のモブたちも来るだろうから、噂の青いドーナツを買って行けば、喜んでくれるかも知れない。
とりあえず携帯で予約状況をチェックした。が、平日のお昼を過ぎたおかげか、すんなりと入店することができた。
🏫
部活動終了。
「ねえタマコ、あと少しだね。ドキドキする?」
部長が私に話しかけてくる。
まるで自分の事のように喜ぶその姿は、とてもうれしく感じる。でも、ちょっとでいいから、放っておいてもらいたい気もするけど…。
それも全部、ナッツと監督が新体操部の全員に先日の電話での内容を話したから。
「はい…。」
「何よー! 元気ないじゃん!」
「ぶっ、部長が大声で言うから、恥ずかしいんです…。」
「きゃー! 乙女だねぇー!」
あぁ…。もう許して…。
着替えが終わり、学校を出る。いつものように私はナッツと駅まで歩く。
すると後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「タマコー! 私も行くって!」
「岩城!?」
驚く私にナッツが言う。
「ああ、岩城にも昨日ラインで話したんだけど、来るっていうからさ。呼んだ。大丈夫だよ、お邪魔虫はすぐに退散するからさ。」
ナッツさん? 意味がわかりませんよ?
しかも、新体操部の皆、18人も私の後ろをついてくる。
てか、監督もいるんだけど!?
「○国神社久しぶりー!」
部長は神社に参拝ですか?
「私は行ったことが無いんですよ。」
いや、だからなぜ? 何でみんなも来るの?
そうこう思っているうちに、神社に到着してしまった。
周りが薄暗くなる中、コンクリートでできた鳥居の横に人影がある。
その人影が、私を見るのがわかった。
微笑んでいる。
彼だ…。
成瀬がそこにいる…。
私のもとへ近づく成瀬…。
「本田。」
成瀬はそう言って、私の目の前までくる。
「成瀬…。」
私が彼の名前を呼ぶと、成瀬は私を抱きしめてきた。
「本田、会いたかった…。諦められなかった…。Ti voglio bene...」
ここまで進んだのは初めてだ…。
あっ…嫌だ…。
うっ…背中が熱い…。
「成瀬、私も会いたかった…。もう離れたくないよ…。終わりたくない…。」
「本田? 終わりたくないって?」
その時、叫び声が聞こえた。
「キャー!!」
恐怖に満ちた叫び声が、あちらこちらから聞こえる。
「成瀬…。もう…死にたくないよ…。」
本田が口から血を吐き出した?
青いジャージを着た男が、本田を押しつぶすように、何かを突き刺している。
「本田?」
本田がグッタリとし、俺に寄りかかる。
なんだよ!
何が起こっているんだ?
「本田? どうした本田? なんだよ、どうしたんだよ! 本田ぁ!」
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