ロケット

「ロケットっていいと思うのよ」

普段は尖った物言いをする友人が、ふとそんなことを呟いた。未だに反抗期のような彼女が何かを褒めることは滅多にないので、思わず反応してしまう。

「…へぇ。どこが?」

ロケットを頭の中で描いてみるも、わたしの想像力ではおもちゃのロケットが精一杯だ。

「そうねぇ。なんて言うかな、抗っている感じ、かな。この世界の絶対的なもの…ここでは『重力』に抗う感じ。反抗してる感じが、こう…グッとくるわね」

うっとりと語る彼女を横目で見る。らしいというか、なんというか。

早く反抗期を終えなさいよ。

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