超短編劇場
終電
チャイム
キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴る。
俺はこのチャイムが嫌いではない。
「いやあ、俺は嫌いだけどね。そもそも授業が嫌だし。…あれっ、俺なんで学校来てんだろう」
「まぁこのバカに賛同するわけじゃないけどさ」
「バカってなんだよ。バカって言った方がバカなんだぜ、バーカ」
「はいはい、バカはお前だ。僕もチャイムは特に好きじゃないなあ。授業の始まりとか憂鬱だしね。なんでチャイムがいいと思うわけ?」
「なんでってそりゃ…」
俺はこっそりと視線を移す。俺の一つ前の席。
休み時間はどこかに行ってしまうあの子は、チャイムと共に俺の視界に帰ってくる。
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