1日(20首連作)

おきぬけの目には眩しき朝光

今日も出会えて今日がはじまる


カーテンを両手で持ちてぐ、と堪え

シャッ、と開く思い切りとね



「いってきます」通学前の合言葉

「いってらっしゃい」快晴が言う


自転車に揺られ風切り今日もゆく

この心地さえきみのおかげだ


梅雨晴間久方ぶりの夏日差し

……ちょいと君きみ、やりすぎじゃない?


学校inその日差しとはおさらばで

じゃあまたあとで窓辺で会おう



つまらない授業はそっぽを見てしまう

やあ、目が合ったね何見ていたの


空覗く小さな小さな鑑賞会

観客ひとりそれも一興


スマホ上げ写真撮る手が止まらない

雲は本当表情豊か


休憩時ぼっちでいてもまあいいよ

僕にはがついてるんだし


あれきみさ、そんなところに行ってたの

さっきはあそこを漂ってたじゃん


頬さらり撫でて流れて何処へと

君らのことも忘れてないよ



空変わり色が変わりとうつろいて

お色直しは橙色で


気がつけば雲も色を直してて

はあ、こっちまで紅くなっちゃう



「ただいま」と声の調子は晴れやかに

「おかえりなさい」晴れがかえるよ


ひとときの間にこれほどに暗くなる

ああ見逃したその瞬間を


何の虫細かなことは知らないが

よう聞こえ来る夏合唱


柔らかくしかし確かな存在を

太陽と違う夜の光は


大小さまざま多兄弟

星はお月の小さな我が子


消灯しあたりを包むは夜ベール

ではまた明日目覚めたときに

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三十一文字 陰陽由実 @tukisizukusakura

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