第1話

クローゼ家に変わった娘がいるのを聞いたのはつい最近の話だった。親父の開いたパーティーに退屈していると親友のブルーノが来て話してくれたのだ。

「クローゼ家の四人目?あそこは双子の姉妹とその上に兄が一人ではなかったか?」

俺に挨拶に来たクローゼ家の兄妹構成は確かにその通りだったはずだ。ほら、今日のパーティーだってクローゼ家の長男アイルは騎士の人々と親交を深めている。あそこでは、双子のクロエとエルマが優雅に話している。

「いや、もう一人さらに下に末っ子がいるらしいですよ。あまりに変わり者であまりこういうところには親が連れていかないのだとか。」

それなら納得だ。昔にある公爵家の長女は精神病を患って連れて行けないと言っていた。それと似た何か障害者かもしれない。

「ほう。どのように変わってるんだ?」

「なんでも、様々なものに興味関心があり多趣味で常になにかに没頭しているのだと聞きました。」

「ふーん」

違ったか。でも、研究者とは変わり者が多い事に変わりない。そちらの類なのだろう。

「音楽も嗜んでいると聞きました。もしかしたら話が合うかもしれませんよ」

「待ってくれ、なんでそんなこと俺に言うんだ」

研究者とは常によく分からないことをぶつくさと考えている。そんなのと話すとかなりめんどくさいのを俺は知っている

「婚約者まだ決まらないんでしょ。近場のお貴族様がダメならイレギュラーに顔を向けてはどうですか皇太子様」

「はぁ、俺をなんだと?」

「まぁまぁ、試しに会ってみると実際は違って見えるかもしれませんよ。俺たちの時みたいに。」

ブルーノの先祖と俺の先祖は共に国を統一した仲だった。そこから彼と俺の家は長きに渡り友好的に接してきた。しかし、親父達の代は仲が悪く形だけの付き合いだった。お互いをお互いの子供に悪く言かえっていた。初めは俺らもその影響でお互いを見下していたが、話しているうちに仲良くなり今では大親友であり剣術を高め合う良きライバルだ。

「……まぁ、考えておくよ」

「俺は心配してるんですよスタンリー。」

普段はスタンと愛称で呼ぶブルーノだが、真面目な話をする時だけは俺の名前をフルで呼ぶ。

「俺は来年結婚する予定の人がいます。貴方は俺と立場が違います。子孫を残してこの国を繁栄させていかなくてはなりません。」

「はあ、分かっているよ」

俺は呆れにも怒りにも聞こえるような言葉を彼に突き刺す。そんなの毎日のように言われる。お見合いはいつセットしようか、どこの令嬢がいいかとか。うんざりする。皇帝という役職は名誉あるものだ。結婚するだけで相手の女性は皇妃になれる。そんな重役を脳内お花畑の令嬢には任せられない。色んなものに精通しているものは頭はおかしいが賢いものが多い。そこら辺のメルヘンな奴らよりかは余程いいかもしれない

「まぁ、いいか。試しにあってみるよ」

「いいと思います。スタンは引っ張ってくれる女性の方が良く似合いますからね。」

そうだろうか。ほとんどの令嬢が極端に高慢か極端に大人しいかのどちらかだ。どちらも俺とは性格は会わなかった。そんな一人の娘だけで俺の心境が一変すると思えん

「俺は他の方に挨拶をしてくるよ」

「ああ」

俺が返事するのを確認するとブルーノは離れた。

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