黒ん坊と納屋で踊った

キャバレヲン

黒ん坊と納屋で踊った

黒ん坊と納屋で踊った

旦那が町に出かけた留守に


月が出る頃には旦那が戻るからって

東向きの窓を開けて

俺たち踊った

汚ねえ納屋で

鍵どもは全部旦那と町に出かけて行った



おまえが旦那を殺すなんて思わなかったからって俺が旦那を殺そうと思わなかったって事にはならねぇ



月が出る頃には俺たち

川沿いに出てた

俺より先におまえが見つけた

俺たちの記念日のびっくりムーン



まるでお月様から

踊るように逃れる俺たち

踊るように逃げ急ぐ俺たちを照らすお月様の影が俺とおまえとあともう一人一緒くたになって逃げてった

誰も見たことがない新しいステップ踏んで踊るように逃げてった

逃げるように踊って




旦那の犬共ジヨンとポール

狂った吠え声が谷間にこだまして

ジヨンとポール

あとあれはジュニアかKJ

どいつもこいつっも糞忌々しい地獄の番犬

俺は震えるおまえの目を見ることさえ出来なかった

あの月





俺がこうして

ここで風に吹かれて

おまえに言いたいのは

ただ誰も

おまえはもちろん

おまえの旦那もジヨンとポール

&ジョーK犬ころ共さえ誰も間違ってなんかなかったってこと


おまえの願いも

頭の悪いこの俺でさえ間違ってなんかはなかったって事さ



で序でに俺が俺が言いたいのは

ジヨンが俺の喉仏に喰らいついて

おまえが悲鳴を上げた時

俺がおまえを見てたかってこと

あの例の

月じゃなくおまえのことを見て見てたかってことだけなのさ


この世での最後の悲鳴をおまえが上げた時




そうベイビー

気にすんなよ

おまえが生きてる世界では

誰も何にも気にすることなんて馬鹿見るだけだって

そうさベイビー

おまえが生きてる世界では

誰も何でも綺麗に忘れる





俺と納屋で踊った黒ん坊

俺の目を見て

喰い破られた俺の喉に誓って

おまえは自由だぜ


ありとあらゆる鍵どもは旦那の腰巾着

今夜真夜中過ぎまで戻って来ねえ

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黒ん坊と納屋で踊った キャバレヲン @kyaparen

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