第3話 仲間を作るには交渉から
翌日、オレは街の西にある森の中にいた。
目的はベックたちを●す事だ。
しかし、オレ1人でやるにはベックは強い。横にいるキュリーとサラも面倒だ。
必要なのは仲間だと考えたオレは、朝から森の中を歩き回り、仲間を探していた。
「お、やっと見つけた」
見つけたのはゴブリンだった。しかも、幸いな事に3匹の群れだった。
森の中のどこにでもいる筈の、普段歩いていればうざいほど出てくるモンスターが、探して見るとなかなか見つからなかった。
緑色の小さな身体を持つゴブリンは、正直言って弱い。
ベックなら素手でも簡単に倒せるだろう。
しかし、ゴブリンはこの森に住む他の魔族の中では少しだけ知能が高い。
野生のゴブリンでも、罠や武器を使うことができる。
「おい、お前ら。巣に案内しろよ」
言葉を理解できる魔物は少ない。勿論ゴブリンも言葉はわからない。普通の人間がゴブリンの言葉を聞いてもただの奇声でしかない。
しかし、オレの『交渉人』のスキルを使えばその問題はなくなる。
言葉がわかれば、後は2匹のゴブリンを●すだけで心は通じる。
「なぁ、いいだろ?」
ゴブリンの巣は意外と近くにあった。しかし、人が通る道では無い為、今まで見つからなかったのだろう。
「へぇ、良いところに住んでるねぇ」
洞窟を利用して造られた巣穴は綺麗に掃除され、通りやすい様に松明まで壁にかけられている。
洞窟内でゴブリンとすれ違う度に「オレ、コイツの仲間だから」と挨拶を繰り返すのは面倒だった。
しかし、これから一緒に戦う仲間の印象は良くしておきたかった。
「この先にクイーンがいるのか。ありがとな。お前はこの先に入らないのか?へぇ、身分が低いからねぇ。そんな低級が味方売ったら殺されるんじゃ無い?大丈夫?」
入る気が無いのか、返事もなく固まってしまったゴブリンを無視してクイーンのいる部屋に入った。
クイーンの外見はキモい。
普通のゴブリンとは大きく違い、芋虫の様な外見でオレの身長よりも遥かに大きい。
自分でできる事は何もなく、食事や下の世話、自分の身体も配下のゴブリンが洗う。
子を産み続けるだけの存在だ。
「やぁやぁ、初めまして。今日はお願いがあって来ました」
威嚇しているゴブリンたちを刺激しない様に出来るだけ柔らかい物腰で挨拶をする。
戦力は減らしたく無い。
第一印象は大事だよ、とベックが言っていたのは本当の様だった。
「これからくる人間を襲って欲しいんだけどダメかな?」
クイーンの喉元に剣を突き立てるだけで、ゴブリンたちはオレとの約束を守ってくれることを約束してくれた。
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