ガチャ
ある日、一人のサラリーマンが街灯で照らされている夜道を歩いていた。
「今日も疲れたなー」
体をほぐしながら歩き続けていると、目の前の暗闇から駄菓子屋が現れた。
「こんなところに駄菓子屋があったのか。にしても懐かしいなー」
懐かしさに耽っていると、駄菓子屋の近くにあるガチャをブツブツと呟きながら回し続ける爺さんが居るのが見えた。
「爺さんがガチャって……」
次の日。
同じ夜道を歩いていたサラリーマンは、昨日見た駄菓子屋を探していた。
「お、あった」
お目当ての駄菓子屋を見つけた彼は、爺さんが回していたガチャを回そうと財布から小銭を取り出す。
「爺さんが回す程面白いガチャなんだろうなー」
ガチャに小銭を入れ、回す。
すると、中から出てきたのは……
「これは……子どもの頃失くした三輪車じゃないか。俺が付けた傷跡もくっきりだ」
子どもの頃失くしてしまった友達から借りた三輪車。
懐かしさのあまり泣きだしてしまうサラリーマン。
だが、毛は段々と抜けてきて……。
「次は何だ?」
何が出てくるのか楽しみなサラリーマンは、変わらずガチャを回す。
次に出てきたのは……
「これは……雅美ちゃん……。 また会えて嬉しいよ」
子どもの頃事故死した初恋の女性。
久しぶりに会えた嬉しさで再び泣きだしてしまう。
その代償に急激に老けていき……。
「次は……次は……」
サラリーマンはやがて爺さんに成り果て、寿命が尽きるまで回し続ける。
「ん? 爺さんがガチャを回してる」
それを見ていた別のサラリーマンも翌日ガチャを回すのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます