隅の男

大学生になったばかりの私は、念願の一人暮らしをしようとアパートを借りた。

大学生活は充実していて、とても楽しい。

でも、私が住む部屋には幽霊らしき"誰か"がブツブツと"何か"を隅で呟いている。

アパートは、事故物件では無い筈なのに……。

最初は気にも留めなかったが、"誰か"の声はどんどんと大きくなっていった。

嫌気が差した私は、霊感が強い女友達にその事を伝える。

事故物件では無く、私自身霊が視える体質でも無い。

「うーん……一旦そのアパート見に行っていい?」

私は、女友達をアパートに連れて行く。

「見た感じアパート自体の嫌な気はしないね」

「でしょ? 私の部屋がおかしいのかな?」

「なら部屋、入ってもいい?」

私達は階段を上り、一番奥の部屋に行く。

「失礼しまーす」

ドアノブに手をかけ、女友達が"誰か"を見た瞬間、彼女は突然ドアを閉じた。

「ど、どうしたの?」

彼女の突然の行動に私は戸惑う。

そして女友達は、見たことも無い表情をして言った。


「あれ、生きてる人間だよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る