盲目の男
おつかいを頼まれた少女は、エコバッグを持ちながらスキップで歩いていた。
「唐揚げ、カレーに~ハンバーグ!」
と、ウキウキして道を歩いていた。
すると、目の前に視覚障害者用の白杖をつきながら歩いている盲目の男が居た。
あまり刺激しないよう配慮して、少女は道の隅をスキップではなく普通に歩いた。
だが、盲目の男は少女の存在に気付き
「そこの少女。わたしの頼みを聞いてくれ」
と、少女に言った。
「な、なぁに?」
自分よりかなり身長差がある男に怯えながら少女は聞く。
「この紙に書いてある場所に行ってくれ。きっと少女が喜ぶと思うから」
「一体そこに何があるの?」
「少女が喜ぶ物がある」
それしか言わない男に対し、少女は不気味がる。
「さぁ、行って確かめてくれ。私は目が見えないからどんな場所か分からないんだ」
男は、少女に紙を手渡した。
「い、一応行ってみる……」
「分かってくれる少女で良かった。それではよろしく頼む」
そう言って男は、白杖無しで普通に歩いた。
まるで盲目では無いように。
紙を渡された少女は怖がり、行くのを躊躇った。
そして少女は、紙に書いてある場所では無く警察に紙を届けた。
「お嬢ちゃん。その紙に書いてある場所に行かなくて良かった。その場所はとても危ないんだ」
警察は、少女にその場所の正体を明かす。
「そこは、人肉工場なんだ。最近小さな子どもが攫われる事件が起きている。さっき会った男はきっと事件の犯人の一人なのだろう。犯人は、盲目という演技をして少女を騙し、人肉工場に連れて行く犯行を企てた。そしてその場所に行ったら肉にされていただろう」
救われた少女はおつかいを終わらせ、母親の作る料理を召し上がる。
ただ、その料理は肉料理で、きっとその肉は人肉なのかもしれない。
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