隠れオタは真祖になって異世界へ!

@jun0919

第1章 願望は成就せり

第1話 終わりと始まり

『それじゃ、君の新たな始まりに幸運を祈ってるよ。’’ワールドゲート’’』

創生神様は、そう告げると片手を前に突き出した。

「我が願望は成就せり!!!」

そう叫びながらガッツポーズを決め、僕は拳大の光玉とともに目の前に現れた神々しい光を放った門をくぐった。


時を遡ること半日ほど前。

僕こと【天野 仁】は平々凡々とは言い難いが、どこにでもいる高校1年生。

見た目はマッシュショートの爽やか系でどちらかと言えば

中性的な顔立ちだけど中身が見た目と伴わないのが世の常だろう。

誘われた喧嘩ダンスは楽しく踊るが、自分からは誘わない

が信条の16歳男子。

どこぞのご先祖様に海外の血が混ざっているのか

生まれつき髪の色がオレンジがかった茶色の色をしている所為か

昔からよく絡まれることが多く、喧嘩相手ダンスパートナー

には事欠かなかった。

唯一の親族だった両親も1年前の事故で他界し、残された遺産で何とか生活をしている。友人だった人とも両親の事故あたりから疎遠になってしまった。

家に帰り風呂も済ませた僕は、自室で籠りいつもの日課を始める。

この日課というのが、読書なのだが・・・愛読しているのが

異世界転生系のラノベなのだ。

見た目にも一致しない、誰も知らない僕の趣味がラノベを読むこと。

それも吸血鬼もの。誰も知らない僕の一面である

隠れオタである僕の唯一の楽しみであり、密かな願望もあった。

喧嘩ダンスに明け暮れる日々、誰もいない家での1人生活・・・

〈こんな生活はもう飽きたなー。ラノベみたいに異世界転生とかしたいなー。〉

そんなことを思いながら、叶いもしない願望を胸に秘め仁はラノベを読んでいた。


話も終盤に差し掛かった時、チクリと左の胸あたりが痛み何だろと思った瞬間!

人生で初めてだというくらいの痛みが胸を襲う。

激痛と息苦しさにもがき薄れゆく意識の中

流石はオタクだな!と言わしめるぐらいに仁はバカなことを考えていた。

〈これ・・死ぬの?死ぬなら・・・異世界転生とかないかな?〉

それを最期に意識は途切れ、誰もいない静かな自室で仁の人生に終わりを

迎えたのである。

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