第10話 罠部屋
襲いかかってきた大岩を打ち砕いたルイシャ達は長く続く通路を進んでいく。
そして歩いて10分ほど経ったところでとうとう通路の終わりが見えてくる。
「おっ、やっとこの薄暗い通路ともお別れやなあ。ほんまジメジメして敵わんわぁ」
遺跡ないは地下だと言うのにほんのり明るかった。
どうやらダンジョン内のレンガがほんのり発光しているらしい。そのおかげで灯りを持っていなくても進むことができる。
「さて、次はどんな面白いことが待っているのかな……」
ワクワクした様子で通路の突き当たりにあった分厚い石の扉を開け、中に入るシオン。
その中は開けた部屋になっていた。ルイシャ達全員が入っても全然動き回る余裕のあるくらいの広さだ。天井も高く、少なく見積もっても5mくらいはありそうだ。
しかしそれ以外には何もなかった。
扉もなければ物も無い。
「……おかしな部屋ですね。何も仕掛けがないとはどういうことでしょうか? まさかここが終着点なのでしょうか。ルイシャ様はどう思われますか?」
「うーん。封印は破られてなかったから誰かに先を越されたってことはないと思うんだけどね」
そう言いながら何の気なしに部屋の扉を閉めるルイシャ。
するとその瞬間ガシャン!! と鍵がしまる音がなる。
「……あら?」
やらかしちゃった? とルイシャが言うよりも早くその部屋の仕掛けが作動する。
なんと部屋の天井にジャキン!! と大きなトゲが天井を埋め尽くすほど現れ、しかも天井がズズズ……と下がってくるではないか。
このままではものの数分でルイシャ達はトゲと天井の下敷きだ。
「「「ギャアアアアアッッッ!!! 死にたくないぃっ!!!」」」
絶体絶命の事態に泣き叫ぶジャッカルの3人。
天井に押しつぶされるトラップ自体は珍しいものではない。昔からダンジョンに存在するトラップだ。
しかしそのトラップに引っかかってしまった時の死亡率は90%。ほぼほぼ脱出方法のないトラップなのだ。
なので銀等級以下の冒険者はこのトラップに引っかかってしまった時は諦めて遺書を書けとまで言われている。
それを知ってるのでジャッカルの面々はこのトラップに激しく動揺し混乱しているのだ。
しかしルイシャ達は冷静だった。
「シオンさん、少し時間を稼いでもらえますか?」
「ん、いーよ。僕に任せて」
ルイシャに頼まれたシオンは床に手を当て魔力を練り始める。
「
シオンが作り出したのは4本の太い柱。その柱はぐんぐん伸びると天井にガン! とぶつかり落下を受け止める。
「これで数分は大丈夫。逃げ道の確保はよろしく!」
「せやったらウチの出番やな!」
そう言ってカザハは右手を前に出すと、そこから小さな羽の生えた虫がたくさん湧き出てくる。
見た目は
その気持ち悪い光景にジャッカルの3人は思わず「うぷ」と吐き気を催す。
「カザハ、この虫達はどんな虫なの?」
「こん子達は『
カザハは虫に力を貸してもらう代わりに自らの魔力を分け与えている。
それは彼女の特殊な契約によるものなのだが、それはここでは割愛しよう。
「お、なんか見つけたようやでルイシャはん」
軍隊蝿達は部屋の一角の壁に集まっていた。
どうやらその壁に何かを感じたようだ。
「その壁からほんの少し風を感じるみたいやな。裏が空洞になっとるんちゃうやろか」
「なるほど、では時間もあまりないことですしここは私が」
そう言って壁にスタスタと近づくアイリス。
すでにその右手には強力な魔力が練られており、危険を感じた虫達は一斉に逃げ出す。
「
アイリスの手から放たれる先端がドリルの様に螺旋状になった槍。
その槍は虫が指し示した壁をいとも容易くぶち壊す。
そしてその穴の奥には隠されていた通路が姿を表したのだった。
「さ、行きましょうルイシャ様。足元が汚れてますのでお気をつけください」
「うん、ありがとアイリス」
そんな感じでいとも容易くトラップ部屋を突破したルイシャ達。
そんな彼らを見てジャッカルの3人はドンドン暗くなっていくのだった。
「あいつらを出し抜くなんて、無理じゃね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます