第23話
お茶会を終え、ベティとロージーは屋敷に帰った。
屋敷に着くと、ベティの父親が真面目な顔でロージーを呼んだ。
「ロージー、アーロン様が亡くなりました」
「はい、知っております」
「それで、これが届きました」
ベティの母親が封書をロージーに渡した。
「……手紙ですか? この字はアーロン様ですね」
ロージーは、はやる心を抑えて丁寧に手紙を開封した。
<親愛なるロージー 幸せになりなさい。この手紙を読んでいると言うことは、私はもう神の元に返ったと言うことでしょう。もう、苦しみも悲しみもありません。ロージー、貴方は賢い娘です。フローレス家に良く仕え、立派な人になりなさい。自分に誇りを持つように。 アーロンより>
ロージーは手紙を読み終えると、フローレス夫妻とベティにお辞儀をして自分の部屋に戻っていった。
「ロージー、明日はアーロン様のお葬式です。黒い服を用意しますから、一緒に出かけましょう」
フローレス夫妻はそう言って、ロージーを呼び戻した。
ロージーは赤い目をして、素直に従った。
「ベティも、黒い服は持っていなかったですね。一緒に買いに行きましょう」
「はい、お父様、お母様」
町に着くと、ベティとロージーは黒いシンプルなワンピースを選んだ。
翌日、町の教会には大勢の人が集まっていた。
「アーロン神父、穏やかな顔をしていますね」
「ああ、そうだね」
花に囲まれたアーロン神父の顔を見て、皆は口々に生前の思い出話を語っていた。
「あ、ロージー!」
修道院で生活をしていた孤児達はみんな涙ぐんでいる。
「……みんな、元気だった?」
「うん」
「でも、アーロンのじっちゃんはもう……」
「神様の元に帰っただけだから、泣かないで」
ロージーは一人ずつ抱きしめて、頬を撫でた。
「……うん」
お葬式は新しい神父の元、つつがなく進行した。
大人達がアーロン神父の入った棺を、お墓に運んでいく。
「アーロン神父には子どもの頃、遊んで頂いたことがありますわ」
ベティはぽつりと呟いた。
「どうして人は死んでしまうんだろう」
ロージーもぽつりと呟いた。
お墓につくと、大人達はアーロン神父の墓に、棺をおさめ土をかけた。
「安らかにお眠り下さい、アーロン神父」
ベティはそう言ってアーロン神父の墓に花を手向けた。
「じっちゃん、私、がんばるから。安心して」
ロージーもそっと、花を供えた。
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