第18話
夜のミサにベティ達一家は向かった。
「今日の夜はクライド様に会えるかしら?」
ベティのつぶやきに、母親が反応した。
「きっとお会い出来ると思いますよ」
「お母様、聞こえましたか?」
ベティは顔を赤くして俯いた。
教会に着くと、ベティはクライドの姿を探した。
すると、オーレリアと談笑しているクライドを見つけた。
「まあ。私以外にも、あんな風に笑いかけることがあるのですね」
ベティは少しつまらないと感じた自分に驚いた。
「私、どうしてしまったんでしょう? クライド様がもっと色々な人とうち解けて下されば良いと思っていたはずなのに」
じっと、クライドとオーレリアを見ていると、オーレリアがベティに気付いて手招きした。
「こんばんは、ベティ様」
オーレリアは機嫌が良い。
「こんばんは、オーレリア様、クライド様」
ベティがオーレリアとクライドに挨拶すると、クライドがお辞儀をした。
「こんばんは、ベティ様」
「一体何をお話していたんですか? ずいぶん楽しそうでしたけれども」
ベティが素直に聞くと、クライドは少し気まずそうに言った。
「ベティ様の幼少期の話を少し……」
「ええ、いもむしを沢山取ってきて、帽子の中に詰め込んでしまった話とか」
オーレリアはそう言って笑った。
「あのときのメイド長の悲鳴は、今でも覚えておりますわ」
「そんな昔のこと……恥ずかしいですわ」
ベティは扇で顔を隠して俯いた。
「ベティ様もやんちゃな頃があったと聞いて、驚いていた所です」
クライドはそう言って、ベティを優しく見つめた。
「クライド様、そろそろ礼拝が始まりますわ」
ベティはそう言って、扇をしまった。
「そうですね」
「それでは、私はこの辺で。ごきげんよう」
オーレリアは騒ぐだけ騒いで、その場から立ち去った。
礼拝が住むと、ベティとクライドはそれぞれの屋敷に帰っていった。
「クライド様、私以外と話すときでも笑うことがあるのですね。なんでしょう? この気持ちは……」
ベティはさみしさを感じたことに驚いていた。
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