第14話
ベティはふと、大広間の方を見た。
すると、カールと目が合った。
「クライド様。私、大広間に行ってきますわ」
「そうですか?」
クライドはベティの手にキスをすると、笑顔を浮かべ送り出した。
ベティは大広間の中、カールの元へ歩み寄った。
「カール様、お久しぶりです」
「ベティ、何だ? 私を笑いに来たのか?」
カールはベティを睨み付けたが、ベティは微笑んで首を横に振った。
「カール様もハリエット様も、強いお方だと存じております」
「何を言っているんだ? ベティ?」
カールは方眉を引きつらせて、口を曲げている。
「ですから、農民達が逃げ出した事件も無事解決できると考えております」
ベティは笑顔でそう言うと、カールを見つめた。
「……失礼する」
カールはベティから目をそらし、足早にその場を立ち去った。
「ベティ様、カール様に用事だったんですか?」
ベティの後をクライドが追いかけてきた。
「はい。自信のないカール様は見ていられなかったので」
その言葉に、クライドの顔が引きつった。
「ベティ様は、まだカール様のことを考えていらっしゃるんですか?」
クライドは不機嫌そうに言った。
「いえ、そういうわけではありませんが……」
ベティはクライドの眉間に手を当てた。
「皺になってしまいますわよ?」
クライドは赤い顔でため息をついた。
「ベティ様。貴方は優しいのか残酷なのか、どちらか分からない方ですね」
「え? 残酷? 私、何かしてしまいましたか?」
ベティはきょとんとした顔でクライドを見つめていた。
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