形式3:資料提示型授業
資料提示型授業はその名の通り、所定の時間になると大学の専用サイトを通じて教員から資料が提示され、それを読むことで一個の講義とする形式です。
これについて見ていく前に、オンライン授業におけるレジュメについて言及します。
大学で配られるプリント、授業資料をレジュメと言いますが、基本的にこれは授業前に教員から配布されるものです。対面授業においては、途中から来た人(遅刻)は前の方の席にあるレジュメを自ら取りに行くという地獄のような恥さらしを受けることもありましたし、場合によってはもらえないということもありました。
これが、オンライン授業においては、事前にデータがpdfもしくはWordの形でサイトを通じて提示され、それを授業が始まる前に印刷しておくという形が一般的になりました。これは双方向型授業でもオンデマンド型授業でも同じです。
ちなみに、いわゆるリアクションシート(出席票ということも。基本的には学年、名前などを書いた上、授業感想を書くもの)も従来は授業前に配布されるものでしたが、現在は専用サイトにコメント(あるいはレポートの形で)を提出するものとなりました。
この形式においては、他学生及び教師側の顔を知ることは、まずできません。もちろん、最初の自己紹介のところで教員側から素顔が空かされる場合もありますが、声を聴く機会はないです。そもそも動画がないので、「講義を受ける」という感覚は非常に希薄ということが出来るでしょう。むしろ読書に近いかもしれません。
はっきり言って、この形式で受けた講義については、知識を深められたという自信はないです。この形式で受けた授業の中に、民俗学系の授業があったのですが、全く理解が出来ませんでした。ただでさえ難しい講義の場合、あるいは苦手な講義の場合、この形式で授業内容を理解することはほぼ無理だと思います。何枚にもなる資料を読むだけの授業は、はっきり言って苦行でした。
やっぱり、人の声があって、それをもとに受ける授業がまず第一に選ばれるべきなのだろうと思います。
ただこの形式を問った授業はそう多くはなかったですし、恐らく今はほぼ取られていないのではないかと思います。先に挙げた通り、この形式は質的に見て、大学の講義の代替になるとはいえないですし、コロナ禍になってもう一年、対面授業ができなくなった当初こそやむを得ずこういった形で代替するしかなかった授業も、設備などの準備の完了によって双方向型、オンデマンド型に移行したのだろうと思われるためです。私の経験でも、昨年春学期には3つあった資料提示型授業も、秋学期には0になりました(ただし、そのうち2つは私自身が履修を辞めた結果なくなったもので、秋学期も引き続き資料提示型でした。残り1つは、資料提示型から双方向型に移行)。
この形式については、学生側の前知識や興味によって理解力に差が出てくると思います。もちろん対面でも、他の形式のオンライン授業でもそれは代わりはしないかもしれませんが、例えば教授の話し方であったり、例えであったりによってはまったく興味のなかった分野や、何も知らない領域であったとしても深い理解が出来る場合があります。それがこの形式では一切期待できないのです。目の前にあるのはただの文字ですから。
もちろん、読んでいて面白い資料を出していただける場合もありました。しかし、それでも声ありには遠く及ばずというところでした。
ということで、この形式については批判(といよりむしろ愚痴)一辺倒になってしまいましたが、コロナ禍という非常事態において、その初期にとられた苦肉の策という意味では仕方のない形式だったと思います。
なお、先にも上げましたが、 私が受けた全29個のオンライン授業のうち、この形式の講義はわずか3つでした。
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