嫌いだ

なゆうき

 僕は今の同僚に嫌な奴がいる。

あいつが数ヶ月前に僕の職場に転職して来たんだ。昔の面影が残るその顔を見てすぐに気付いた。


 僕は小学校を卒業後引っ越したのであいつと会うのは久し振りだった。昔はすごく仲良しだった。小学六年のある時までは。


 僕はあいつを尊敬していた。率先して行動しみんなを引っ張るタイプでとても頼りがいがあった。


 僕は当時あいつの噂を聞いた。それは出しゃばってばかりで何様なんだよ、という内容だった。


 僕はそれは違うと思った。あいつがあれこれ言うのはみんなを楽しませる為だと言う事が分かっていたからだ。


 僕はあいつと話をする事にした。


 僕はあいつに言った。君はあんまりみんなにあれこれ言うのは控えた方が良い。言い方も考えた方が良いと。


 僕はみんなにあいつを誤解して欲しくなかった。あいつの気持ちがみんなにちゃんと伝わって欲しかった。


 僕はあいつの表情を見て反発されているように感じた。僕はあいつの事を悪く言ったつもりじゃなかった。なんでこんな表情をされなくちゃならないんだ。そして、あいつは僕について文句を言って来た。


 僕はそれを聞いてむっとした。あいつは僕の気持ちなんて何も分かっていない。


 僕はあいつと距離をとった。それ以来ぶりの再会だった。あいつは昔と変わらず積極的にみんなに話しかけ引っ張っていくやつだった。


 僕はあいつの言葉がいつも頭の片隅にあった。今のあいつを見ながら、これまでの自分を思い返し、それ比べて僕は……。人の気も知らないでと思った。だから……


 



 俺は今の同僚に嫌な奴がいる。

俺が転職した職場にあいつがいたんだ。昔の面影が残るその顔を見てすぐに気付いた。


 俺はあいつと会うのは小学校卒業以来だった。昔はとても仲が良かった。小学六年のある時までは。


 俺はあいつに憧れていた。周りをよく見て気遣いができ周りからは信頼されており、俺には持ち得ない気配りは羨ましかった。


 俺は当時あいつの噂を聞いた。それはみんなの顔色ばかり見て八方美人なんだよな、という内容だった。


 俺はそれは違うと思った。あいつがみんなに色々と聞いているのはみんなで楽しく遊べればいいなという想いからだと分かっていたからだ。


 俺はあいつと話をする事にした。


 俺はあいつに文句を言われた。むっとしたがそれでもあいつの良さがみんなに伝わった方が良いと思った。


 俺はあいつに言った。お前はみんなをあまり詮索しない方が良い。変に首を突っ込むのを控えろよと。


 俺はみんなにあいつを誤解して欲しくなかった。あいつの気持ちがみんなにちゃんと伝わって欲しかった。


 俺は言い終えてあいつの表情を伺う。そこには反発の色が見てとれた。俺は更にむっとした。あいつは俺の気持ちなんて何も分かっていない。


 俺はあいつと距離をとった。それ以来ぶりの再会だった。あいつは昔と変わらず積極的にみんなに話しかけ引っ張っていくやつだった。


 俺はあいつの言葉がいつも頭の片隅にあった。今のあいつを見ながらこれまでの自分を思い返し、それに比べて俺は……。人の気も知らないでと思った。だから……





僕は、俺は、あいつが嫌いだ。

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