第31話 耳を知ろう(動作の語彙)

 耳に聞こえる物の振動「おとオン音声オンセイ音声オンジョウ

 音を出しているもと「音源」

 楽器など発音体の違いや音の出し方の違いによる感覚的な特性また心に訴える小さくて美しい「音色ねいろ音色オンショク

 とてもよい「好音コウイン

 美しい「美音ビオン妙音ミョウオン

 聞いていて快い「快音」

 澄んだ音色「清音セイオン


 楽器などが発する音のうち振動数の最も少ない「基音キオン基本音キホンオン


 音の大きさの度合い「音量」

 小さな音また小さな声「小音ショウオン

 大きな音また大きな声「大音ダイオン大音声ダイオンジョウ|」

 大きな音「大音響ダイオンキョウ

 耳が大きく鳴りわたる「とどろき、轟然ゴウゼン

 轟きわたる「轟音ゴウオン

 うるさくて騒がしい「雑音、騒音、ノイズ」

 雑音などを消す「消音」

 音が外に漏れないようにする「防音、遮音、吸音」


 音の高さの度合い「音高オンコウ

 高い「高音」

 低い「低音」

 振動として感じるような重々しく低い「重低音」

 力の入った低い「うなり」

 かすかな「微音ビオン

 弱い「弱音ジャクオン

 

 ふたつの音の高さの隔たり「音程」

 音楽で使われる音を一定の基準に沿って高さの順に並べた「音階」

 音の高さの異なるふたつ以上の音が同時に響くと出る「和音、協和音」

 二つ以上の音を同時に鳴らしたとき不安定な感じがする「不協和音」

 音が混じって響き合う「交響」

 音楽での高い「高音たかね

 冴えた音楽の「錚錚ソウソウ

 楽器の「楽音ガクオン、物の音」

 金属楽器の「金声キンセイ

 琴や金属の「錚然ソウゼン

 三味線などの「弦声ゲンセイ絃声ゲンセイ

 ばちで弾き鳴らす「撥音ばちおと

 鼓や太鼓の「鼓声コセイ


 音が聞こえるまた音が広がっていく「響く」

 音がするまた音が高く響く「鳴る、高鳴る」

 物と物とがこすれて音を出す「きしむ、きしめく、きしる、がたつく」

 鈍い音が低く長く鳴り響く「うなる」

 あたり一面に音が響く「どよめく、とどろく、響き渡る、鳴り響く、鳴り渡る」

 音を聞こえさせるまた出させる「響かせる、轟かせる、鳴らす、とよむ、どよむ、とよもす」

 床などを踏んで鳴り響かせる「踏み鳴らす」

 楽器などの音が冴えて聞こえる「む、む」

 音がはっきりしなくなる「にごる」

 音が細く高く響く「甲走カンばしる」

 にぎやかな音をたてる「さざめく、さんざめく」


 周囲に伝わる音の振動「音響、響き、とよみ、どよみ、とよめき、どよめき、響動とよめき、響動どよめき」

 音や声と響き「音韻、声韻」

 鳴り終わってもあとまで残る音の響き「残響、余韻ヨイン余音ヨイン、余響」

 音が物に当たって跳ね返ってくる「こだま木霊こだま山彦やまびこ天彦あまひこ、反響」

 遠くからのまた遠くまで聞こえる「遠音とおと遠音とおね遠鳴とおなり」

 振動が不規則で音の高さを特定できない音「噪音ソウオン


 鳴るまた騒がしいものの「り」

 なにかの「物音ものおと

 物を続けて打つ「打打、丁丁」四字熟語「打打チョウチョウ発止ハッシ丁丁チョウチョウ発止ハッシ

 実際には鳴っていないのに聞こえる気がする「空音そらね



 風が物に触れて鳴るまた笛の穴から発する「ライ

 風が鳴る「風音かざおと風声フウセイ風籟フウライ天籟テンライ

 地上で発する音や響き「地籟チライ

 人工で出す笛や尺八などの「人籟ジンライ

 天籟・地籟・人籟の三つの総称「三籟サンライ

 風に当たっていろいろな物が鳴る「万籟バンライ衆籟シュウライ

 松風の「松籟ショウライ松韻ショウイン

 波の音にたとえた松風の「松濤ショウトウ

 山風が樹木に当たってざわざわする「山籟サンライ

 秋を感じさせる物寂しい風の「秋声シュウセイ、秋の声」

 木の葉が風などで触れて出す「葉音はおと

 雨や雪の降る音・風の吹く音・落ち葉の音など「淅瀝セキレキ

 雨の降る「雨音あまおと雨声ウセイ

 激しい風や波の「怒号」

 雷の「雷鳴」

 急に鳴る雷の「霹靂ヘキレキ

 雷が鳴り響く「轟轟ゴウゴウ殷殷インイン

 地震や火山の噴火などで地盤が揺れるときの「地響ジひびき、地鳴ジなり、鳴動」

 山が鳴動する「山鳴やまなり」

 家が鳴り響く「家鳴やなり」


 水の流れるまた物が水中に落ち込んだとき出る「水音みずおと水声スイセイ

 水が流れ注ぐ「淙淙ソウソウ

 川が流れる「川音かわおと

 川が浅瀬を流れる「瀬音せおと、せせらぎ」

 滝の「瀑声バクセイ

 波が寄せたり引いたりするときに起こす「波音なみおと濤声トウセイうなり」

 沖から寄せるうねりの「海鳴カイメイ海鳴うみなり」

 潮が満ちるとき立つ波のざわめき「潮騒しおさい潮騒しおざい


 爪をはじいたときに出るまた馬のひずめや琴の「爪音つまおと

 歩く「足音あしおと足音ソクオン跫音キョウオン

 人がいる気配また人の歩く足の「人音ひとおと

 靴の「靴音くつおと

 人が来る足音がするさま「跫然キョウゼン


 着物の裾などが触れ合う「衣擦きぬずれ」

 鳥が羽を打つ「羽音はおと

 蚊が多く集まって鳴く「蚊雷ブンライ蚊鳴かなり」

 鳥の鳴く声の高い「高音たかね

 鞭を打つ「鞭声ベンセイ」故事成句「鞭声粛々シュクショク夜河を渡る」


 刀などで打ち合う「刃音はおと太刀音たちおと打打チョウチョウ発止ハッシ

 よく鍛えられた鉄などの響き「錚錚ソウソウ

 固い物を打ち合う「戛戛カツカツ

 金石の打ち合う音「鏗鏗コウコウ

 寺の鐘が鳴り響く「鯨音ゲイオン鐘声ショウセイ鏗鏗コウコウ

 金属を叩いたりこすったりするときに出る甲高い「金属音」


 矢が風を切って飛ぶ「矢音やおと羽音はおと

 弓を射る「弓音ゆみおと

 矢を放ったとき弦が鳴る「弦音つるおと鞆音ともね

 銃を撃ったときに出る「銃声」

 鉄砲や大砲の弾を打ち出す「筒音つつおと

 大砲を撃ったときに出る「砲声ホウセイ

 合図に撃った大砲などの「号音ゴウオン号砲ゴウホウ

 爆発したときの音また飛行機の「爆音」


 サイレン・汽笛などの「吹鳴スイメイ

 バットやラケットでボールを打ったときに出る「球音キュウオン

 叩いて出す「打音ダオン

 重い物が落ちたり通過したりするとき大地が揺れる「地響き」

 地響きを立てる「轟轟ゴウゴウ

 

 船を漕ぐかじの「楫音かじおと

 櫓を漕ぐ「櫓声ロセイ

 槌で物を叩いたときに出る「槌音つちおと

 実際の音に似せて人工的に作り出した「擬音ギオン

 電子回路で電気的に作り出された「電子音」

 携帯電話や電子メールなどで着信を知らせる「着信音」


 心臓が脈打つ「心音シンオン

 心音の響き「鼓動」




────────




聞く/聴く

 自然に耳に感じるのを「聞く」、しっかり意志をもっては「聴く」と言います。


聞こえる

 虫の音が聞こえる「耳に入る」

 噂が聞こえる「耳にする、耳朶ジダに触れる」


聞くの複合動詞

 聞いて知るまた聞いて理解する「聞き知る」

 何度も聞いて嫌になる「聞き飽きる、耳に付く、耳に胼胝たこが出来る」

 間違えて「聞き誤る、聞きちがえる、聞き損なう、聞きたがえる」

 探り聞いてはっきりさせる「聞きあらわす」

 熱心に「聴き入る、聞き付く」

 相手の話を聞くだけで自分の考えを言わない「聞き置く」

 うっかりして聞かないでしまう「聞き落とす、聞き漏らす、聞き洩らす、聞き逃す、聞き外す、聞き損なう」

 聞いて記憶している「聞き覚える」

 人づてに「聞き及ぶ、聞き伝える」

 一度聞いたことを再び尋ねる「聞き返す、聞き直す」

 深くはわからずうわべだけ「聞きかじる」

 お互い聞き合う「聞き交わす」

 それと意識して聞く「聞きす」

 ほかから聞いて知る「聞き込む、聞き付ける」

 聞いて問いただしたり非難したりする「聞きとがめる」

 中途で聞くのをやめる「聞きす」

 我慢しながら黙って「聞き忍ぶ」

 終わりまで「聞き済ます、聞きぐ、聞き尽くす、聞き通す」

 注意して「聞き澄ます、聞きとどむ、聞きとどめる」

 聞いて探るまた聞き始める「聞き出す」

 質問して確かめる「聞きただす」

 続いて「聞き継ぐ」

 願いなどを承知する「聞き届ける、聞き入れる」

 聞いて心にとどめる「聞き取る、聴き取る、聞きはさむ、耳にまる」

 聞いても心にとどめない「聞き流す、聞き過ごす、聞き放つ、聞き捨てる」

 いつも聞いて耳に慣れ親しむ「聞き慣らす」

 いつも聞いて耳に慣れる「聞き慣れる、耳慣れる」

 終わりまで聞かない「聞き外す」

 聞いてその意のあるところを理解する「聞きひらく」

 何度も聞いて新鮮に感じなくなる「聞きふるす」

 聞いてうっとりする「聞きれる」

 聞いたり見たりする「聞き見る、見聞みきく」

 聞いて区別するまた是非を判断する「聞き分ける」

 機会を逸して聞かないままになる「聞きそびれる」

 聞いておくべきことを忘れて聞かないまた聞いたことを忘れる「聞き忘れる」

 聞いていて不愉快に思う「耳にさわる、耳に当たる、耳立つ、聞き苦しい、聞きづらい」




 [謙譲]

 自分の話を聞いてくれることの敬語「清聴セイチョウ高聞コウブン

 謹んで「敬聴ケイチョウ拝聞ハイブン敬承ケイショウ拝承ハイショウ拝聴ハイチョウ謹聴キンチョウうけたまわる、うかがう」

 みことのりを承る「奉勅ホウチョク

 [尊敬]

 君子が「天聴テンチョウ叡聞エイブン、|こしす、上聞ジョウブン上聴ジョウチョウ

 貴人の耳に入る「台聴ダイチョウ台聞ダイブン

 天皇に申し上げる「奏聞ソウモン奏聞ソウブン奏上ソウジョウ




 聴き取る「聴取チョウシュ

 あらかじめ「下聞したぎき」

 私語などせず静かに聞く「静聴セイチョウ」 

 聞くともなしに「片耳かたみみ余所耳よそみみ

 聞きながら「聞く聞く、聞き聞き」

 うすうす「側聞ソクブン仄聞ソクブン仄聞ほのきく」

 ふと耳にする「漏聞ロウブンれ|聞く、漏り聞く」

 探り「探聞タンブン探聴タンチョウ

 ひそかに盗み「盗聴トウチョウぬすき、き、く」

 物音のするほうに耳を向けて聞き漏らすまいとする「耳をそばだてる」

 よく聞こうとして神経を集中する「聞き耳を立てる」

 誤って「誤聞ゴブン、聞き違い」

 見たり聞いたり「見聞ケンブン、見聞き」

 初めて「初耳ハツみみ

 人づてに「又聞またぎき、伝聞デンブン伝承デンショウ人聞ひとぎき、つたく、かえく、耳に挟む、又聞き」

 他人が「他聞タブン

 人が聞いたときの感じ「人聞ひとぎき、外聞ガイブン

 実際に自分で「実聞ジツブン

 言いふらす「吹聴フイチョウ

 聞くことの最後「おさめ」

 言いつけを「奉命ホウメイ受命ジュメイ

 話を聞きに来る「来聴ライチョウ

 会議や公判などで「傍聴ボウチョウ

 公に「公聴コウチョウ聴聞チョウモン

 行政機関が広く意見や要望などを「広聴コウチョウ

 講義を「聴講チョウコウ

 意見や願いを聞き入れる「聴納チョウノウ聴許チョウキョ

 目下の者に「下問カモン下聞カブン


 実際にはない音や声が聞こえるように感じる「幻聴ゲンチョウ空耳そらみみ

 音や声があまりよく聞こえない「難聴ナンチョウ

 聴力を失くす「失聴シッチョウ

 耳が聞こえない「ロウ」、耳が聞こえず言葉が話せない「聾唖ロウア



 見聞が狭い「寡聞カブン浅聞センブン

 高い地位の人が非公式に内々で「内聞ナイブン

 ちらっと「打ち聞く、打ち聴く、小耳に挟む」

 確実に「確聞カクブン

 耳を傾けて真剣に聞く「傾聴ケイチョウ

 広く聞いて知る「博聞ハクブン

 多くの事物を「多聞タブン百聞ヒャクブン

 詳しく「諦聞テイチョウ詳聞ショウブン

 試しに「試聴シチョウ

 一方の言い分のみ「片聞かたぎき、偏聴ヘンチョウ


 噂や情報がその人にまで伝わる「耳に達する」

 世間の評判「名聞メイブン名聞ミョウモン、聞こえ、名声メイセイ声聞セイブン

 遠くまで評判が聞こえる「遠聞エンブン

 世間によく知られている「著聞チョブン著聞チョモン

 珍しい話・噂「奇聞キブン珍聞チンブン異聞イブン

 世間に知られていない珍しい話「逸聞イツブン遺聞イブン

 今までに聞いたことがなくとても珍しい「前代未聞」

 前に聞いたまた古い「旧聞キュウブン

 本筋から外れたちょっとした話「余聞ヨブン

 聞いて書いたもの「紀聞キブン記聞キブンき」

 どこからともなく「風聞フウブン

 根も葉もない噂また実のない名声「虚聞キョブン

 怪しい噂「怪聞カイブン怪説カイセツ

 気持ちのよい噂「快聞カイブン

 よくない噂「醜聞シュウブン、スキャンダル」

 情事についての噂「艶聞エンブン

 痛ましい噂「惨聞サンブン


 情報などを早く聞きつける「耳聡みみざとい、耳聰みみざとい」

 情報などを逸早く聞きつける「耳が早い、早耳はやみみ、地獄耳」

 聞かせて知らせる「耳に入れる」

 信じられないようなことを聞いて聞き違いではないかと思う「耳を疑う」



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