第6話 足と脚を知ろう(単語解答)

 あしは「キャク」「あし」「下肢カシ」とも。

 「下肢カシ」は腕のときと同じで「四肢」に対応する言葉です。


 両方の足や脚は「両足リョウあし」「両脚リョウあし」「双脚ソウキャク」、片方は「片足かたあし」、片足を失っている状態を「隻脚セキキャク」と呼びます。

 失った足の代わりを務める人工の足が「義足ギソク」「義肢ギシ」です。




 脚には「また」「大腿ダイタイ」「ひざ」「下腿カタイ」「足首あしくび」「足」があります。


 両脚を開くことを「開脚」、閉じることを「閉脚」と呼びます。これは体操の技にありますよね。

 両脚を広げてできる空間を「股座またぐら」と呼びます。暴漢を取り押さえるときに「股座で押さえ込む」のように使います。

 両足を大きく開くことを「大股おおまた」と言います。「大股で歩く」の用例です。「大足おおあし」とも呼びますがこれは足のサイズ(靴のサイズ)が大きいことも指す言葉なので、今はあまり使われていませんね。




 また股間こかんとも呼びます。脚の付け根は「股関節」と呼ぶのが一般的ですね。

 下腹部と接する股の内側の部分を「鼠蹊そけい」「鼠径そけい」と呼びます。医学的には「鼠蹊部そけいぶ」「鼠径部そけいぶ」と呼びます。解剖学的には恥骨の左右の外側・股関節の前方部にあたります。


 立ったときに両膝が離れてしまうのを「O脚」または「蟹股がにまた」と呼びます。かなで「がにまた」と書いたほうがわかりやすいと思います。

 反対に立ったときに両膝をくっつけると下腿が外へ広がってしまうのを「X脚」と呼びます。日本語では「内股うちまた」と呼びますが、ももの部位を示す言葉と同じなので使い分けが難しくはなります。




 大腿は「上腿ジョウタイ」とも呼び、俗に「もも」「もも」とも呼ばれますが、「もも」は「また」と同じ漢字なので、「もも」を使わないのならかなで「もも」と書くべきです。

 大腿で付け根に近いところは「太腿ふともも」と呼びます。こちらも上記の理由で「太もも」と書く場合が多いですね。すべてかなで「ふともも」もよく見かけます。

 左右の大腿に囲まれた部分を「また」と呼びます。


 大腿の内側のことを「内腿うちもも」「内股うちもも」「内股うちまた」と呼びますが、「内股うちもも」「内股うちまた」は同じ漢字なので、こちらもかなで「内もも」と表記すると間違いがありません。もしくはルビを振るか。

 「内股うちまた」は立ち方や歩き方も表しますし、柔道の技でもありますので部位を示す言葉としてはあまり使わないほうがよいですね。

 大腿の裏側には「大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋」があり、その総称が「ハムストリングス」です。陸上選手が「ハムストリングスを痛めた」と言っているのはももの裏のことです。




 では「膝」はどうでしょうか。

 膝の前面にある皿のようなものをなんと呼ぶでしょうか。「膝頭ひざがしら」一般的には「膝小僧ひざこぞう」と呼びますよね。また「ひざさら」や医学的には「膝蓋骨シツガイコツ」とも。

 膝頭の下のくぼんだ部分を「三里」と呼びますが、これは鍼灸から来ています。

 膝の後ろ側は「膝の裏」ですね。これはそのままです。




 下腿は「すね」「すね」「はぎ」とも呼びますが、これ単体ではなかなか使いません。

 下腿の前側も「すね」「すね」と呼びますので区別が付けづらい。

 そこで前側は「向こうずね」とする場合が多いですね。ここは歴史上の人物から「弁慶の泣き所」とも呼ばれていますね。

 下腿の後ろ側は「はぎ」「こむら」「こぶら」と呼びます。ここも「はぎ」だけでは下腿全体を指すのでとくに「ふくはぎ」とされています。このふくれている部分は「ヒラメ筋」「腓腹筋ヒフクキン」の盛り上がりです。ここがるつまり痙攣ケイレンすることを「こむらがえり」「こぶらがえり」と呼びます。現代では「こむら」「こぶら」と呼ぶのはこの例くらいなので、あまり記憶しなくても大丈夫ですね。




 足首には左右に突き出た「くるぶし」があります。

 足首の裏側にある細い筋繊維は古代ギリシャの英雄に由来した「アキレスケン」と呼ばれています。




 では手の平というのに「足のひら」とは呼ばないのか。

 実は甲州弁では「足の平」と呼ぶのですが、一般的には「足裏あしうら」ですよね。

 足裏は「あしうら」とも呼びます。「足底ソクテイ」「足蹠ソクセキ」とも書きますが、読みにくいし連想しづらいのであまり使いませんね。


 足の裏といえば「扁平足ヘンペイソク」が有名です。これは足裏のくぼみ「土踏まず」のない足裏のことです。


 足の後部は「ヒール」つまり「かかと」ですね。「きびす」「くびす」とも読みますが、このふたつの読みは慣用句「踵を返す」で使うくらいです。


 同じくサッカーで足の指先部分を「トゥ」つまり「爪先つまさき」と呼びます。


 足には指もありますよね。「手と腕」で述べたように、学術的には「第一指」「第二指」

と呼びますが、手の指と同様「親指」「人差し指」と書いても許容されています。小説で「第一指」と書くのは推理小説の死体検案書あたりに出てくればよいほうです。


 足に靴下や靴などを履いていない状態は「素足すあし」「裸足はだし」「はだし」ですね。「赤脚{セッキャク」とも書きますが古語なので現在は通用しません。

 逆に靴を履いていたり素足が泥だらけなら「土足」と呼ばれます。




 他にもよく動くほうを指す「あし」があります。




 ここに挙げた以外にも語彙はありますから、類語辞典を開いて、股、大腿、膝、下腿、足首、足にかかわる単語を読んでみましょう。



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