第52話

だけどそのためには知らない人たちと会う必要がある。



それに、コウダイだって中学生だと言っているけれど、実際はどうかわからないし……。



考え始めると答えが見つからなくなってしまった。



《ノドカ:少し考えます》



結局あたしはこの日、オフ会に参加することを即決できなかったのだった。


☆☆☆


それから一ヶ月後、あたしを除く3人は実際にオフ会を開き、肝試しをしてきたようだった。



《匿名希望:コウダイが教えてくれたあの廃墟、マジでやばかった!》



《コウダイ:でしょう? 今度またいいところがあったら行きましょう!》



《名無し:次はノドカも一緒にどう?》



その誘いに一瞬心が揺らいだ。



みんな楽しそうだし、なによりあたしが知らない場所で盛り上がっている3人を見て、寂しさを感じてしまったのだ。



ちょっとだけ参加して、危なそうだったらすぐに帰ろう。



あたしは自分にそう言い聞かせ、2度目のオフ会には参加することに決めたのだった。


☆☆☆


1度目のオフ会ではあたしが不参加だったこともあり、2度目は早い段階で結構されることになった。



正直まだ心の準備はできていなかったのだけれど、あたしは勢いに任せて参加の意思を伝えた。



そしてオフ会当日。



あたしは1人電車に揺られて隣町へと着ていた。



待ち合わせ場所は電車の改札口だ。



小さな町なのであまり人はいなくて、すぐに他の3人を見つけることができた。



「こんにちは! 俺匿名希望です!」



まず最初にメガネをかけたヒョロリとのっぽの男の子が話かけてきた。



匿名希望くんはあたしよりも3つ年下で、まだ小学生のはずだ。



けれど身長は一番高かった。



次は背の低い可愛い女の子。



「はじめまして、名無しです」



名無しはまるで声優さんのように可愛い声をしている。

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