リビ・ドー

朝香雪定

第1幕第1場 O happy dagger!

第1話 第1幕第1場 O happy dagger! 1

 むにゅっと、もにゅっと、きたもんだ。

 いやいや、もんではいない。

 揉んではいないはずだ。

 だがしかし――


 むにゅ。


 この手に伝わる柔らかな感触。


「あんっ……」


 そして何よりその手の動きに合わせて上がる艶やかな声。

 手にした感触と反応に、思わず確かめずにはいられない。

 そう。仕方がない。これは確認だもの。


 むにゅ。


「あんっ……」


 いやはや、このコンボ。

 むにゅっと揉めば、あんっ……なのだ。

 これは現実かと今一度、試してみずにはいられない。

 そう。しょうがない。これは念の為だもの。


 むにゅ。


「あんっ……」


「おっひょう!」


 奇声だって上げてしまう。

 そう、どうしようもない。彼は男の子だもの。

 鼻の下だって伸びるし、頬もだらしなく緩む。

 そこにありながら、いつも遠くから眺めるだけだったいただきに。

 彼にとっては人類未踏の頂上に――今、初めてこの手が届いたのだ。 

 男なら本当にこれが現実であるのか、確かめずにはいられない。

 そう。確かめずに――揉まずにいられるはずがない。

 はい、それが分かれば、もう一度。

 せーの。


 む――


葉可久礼はがひさのり! アンタ入学初日に、何やってんのよ!?」

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