かつて千里眼の力で世を賑わせ、しかしペテンであると看破された元超能力者・チヅ子と、彼女の元を繰り返し訪れる大学教授・福田の物語。
一風変わった歴史ものコメディです。
ほとんど会話文だけで進む文章の、その軽妙な雰囲気が魅力的。テンポがよく、読むうちに釣り込まれるような感覚があって、気づけばすっかりキャラクターに愛着が湧いていました。
過去に実在した人物を描いたお話ということで、いわゆる歴史のものにあたると思うのですけれど、肩肘張らず読めるところも好きです。
特に予備知識も必要なく、ただ掛け合いの妙を楽しむコメディ作品。そしてそこに仕込まれた小さな物語性というか、お話の行く末が心に染みるのが大変心地よいです。
タイトルが好き。各話の最後、繰り返される「また明日」のミニマル感。良い……。