第74話元の厳しい指摘 女子三人は仲良しに

元は、奈穂美とのデュオを終えて、少し考えている顔。

奈穂美と春麗、美由紀も胸をドキドキさせて待つ。


元は首を横に振る。

そして一言。

「だめ、却下」


奈穂美がガッカリして崩れ落ちそうになるので、美由紀が支える。

春麗は元に抗議。

「奈穂美ちゃん、上手だった、どうして却下なの?」


元は眉をひそめた。

「あのさ・・・聴いていてわからない?」

「声が、思ったより伸びない」

「だから、ホールに響かない」

「ブレスも懸命にしていたけれど、それが甘い」

「だから、微妙に遅れる、音楽が崩れる」

「相当、発声練習をしないと」

「時々、姿勢も悪くなるし」


それでも、ウルウルしてしまった奈穂美が気になったらしい。

「声自体は、いいよ」

「好きな声」


奈穂美は、また声をグジュグジュにしながら元に迫った。

「鍛えれば、伴奏してくれるの?」


元は、ムッとした顔。

「あのさ、だから、鍛えて欲しい」

「それを言っている」


その元に、春麗が怒った。

「あのね、元君、もう少しやさしい言い方をしなさい」

「まったく・・・口が悪い」


奈穂美は、その春麗をおさえた。

「私、元君に負けない」

「声を鍛えます、毎週、鎌倉に通います」


元は、「え?」と驚いた顔。

春麗は、少し笑う。

出遅れてしまった美由紀は、春麗に「私も毎週鎌倉に」と、こっそり頼み込んでいる。



さて、そんな騒動の後は、春麗が美由紀と奈穂美に、泊る部屋を案内。

春麗

「ここが元君の部屋、隣が私の部屋」

「美由紀ちゃんと奈穂美ちゃんは、私の部屋の向かい」


元が自分の部屋に入った後、春麗が美幸と奈穂美の宿泊用の部屋のドアを開けたので、一緒に入る。

美由紀

「へえ・・・可愛い感じ・・・一流ホテルみたい」

奈穂美

「ベッドが、二つともダブルベッドか、贅沢」

美由紀

「バス、トイレ付で・・・アメニティもかなりブランド物」

奈穂美

「冷蔵庫もある・・・ビールとワインもあるのか」

春麗

「洗濯乾燥機は、階段近くの小部屋に」

「もし、着替えが必要なら、教会にも売店があるよ」

「マリア様グッズばかり」

美由紀

「夜に女子会をしたい」

春麗は笑う。

「元君の文句大会?」

奈穂美

「うん、いくらでも言える」


元は、ともかくとして、女子三人は、いつの間にか仲良しになっている。


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