12話

☆☆☆

信哉side

 拓斗はほんとに鈍感すぎるよ。

 たぶん、あの教室の後ろドアから美沙ちゃんは見てた。

 一瞬かもしれないし聞こえていたかどうかも怪しいんだよな。

 しかし、女子の感覚って鋭いらしいから


 きっと誤解が誤解を生んでるに違いない。


 あ、なんでわかるかって?

 オレって結構鋭いほうなんだよね。


 個人が思ってること大体察しちゃうっていうか。

 ま、そのくせ成績中の下っていう悲しいオチなわけだけど。



「とにかくお前。

 美沙ちゃんに電話かメール入れとけよな」


「……」


「いいから入れとけ。

 決めたことっていっても


 お前の中だけだろ。

 少しくらい目をつぶれよな」



「――デキナイ」


 こいつらしいけど、今回は美沙ちゃんが待ってくれるかわからない。

「わかったよ。じゃ番号教えろ」

「はぁ?」

「だから美沙の電話番号。

 俺からかけてやるよ」

 世話の焼ける超鈍感野郎に答えを出させてやろう。

                     続く


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